グーグルやAMDなどが人工知能(AI)アクセラレーターの競争力を引き上げるなか、エヌビディアが主導してきた市場構図が再編されている。2社が「エヌビディア一極」に亀裂を入れ、高帯域幅メモリー(HBM)市場も複数の「大口」需要家が牽引する構造へと変わりつつある。
5日半導体業界によると、台湾系証券のフボン証券傘下フボンリサーチは最近のサプライチェーン調査の結果、2028年にグーグルのテンソル処理装置(TPU)物量がエヌビディアのデータセンター向けグラフィックス処理装置(GPU)出荷量を上回る可能性があると展望した。第9世代TPUの物量は1200万〜1500万個、エヌビディアのAI GPU出荷量は1240万個とそれぞれ見積もった。「エヌビディアの対抗馬」とされるAMDもGPU1個に搭載するHBM容量を増やしている。大手AI企業を顧客として確保し、アクセラレーター出荷量の増加も見込まれる。
HBMは複数のDRAMを垂直に積層しAIアクセラレーターの近くに配置、大量データを高速供給するメモリーである。データを適時に渡せなければ演算ボトルネックが発生する。広いデータ通路と高い帯域幅を備えるHBMは、すでに高性能AIアクセラレーターの必須部品として定着した。AMDの次世代製品には第6世代HBMであるHBM4が入り、グローバル投資銀行モルガン・スタンレーはグーグルの第9世代TPUに第7世代HBMであるHBM4Eが搭載され得ると分析した。
◇ エヌビディア37.3%・グーグル36.0%…来年のHBM需要は二分
モルガン・スタンレーは来年、GPUと特定用途向け集積回路(ASIC)に搭載されるHBMの総需要を486億1800万Gb(ギガビット)と見込んだ。約60億7700万GB(ギガバイト・8ビット=1バイト)で、AIデータセンターの主力アクセラレーターとして使われるエヌビディア「ブラックウェルB200」約3165万個に入るHBM分量だ。ビットグロース(メモリー総容量増加率)基準の需要は今年より約60%増える見通しだとした。
エヌビディアが約181億2500万Gbを消費し全体の37.3%を占める見通しだ。グーグルは約175億700万Gbで36.0%、AMDは約59億Gbで12.1%をそれぞれ占めると分析した。エヌビディアがグーグル需要を1.3ポイント上回り最大需要先を維持するが、他社の消費量も急速に増え得るということだ。
グーグル・AMD・アマゾンウェブサービス(AWS)・マイクロソフト(MS)・Meta(メタ)など非エヌビディア顧客のHBM需要比率は62.7%に達すると予想された。エヌビディアの製品発売スケジュールとサプライヤー選定に左右されていたHBM市場が、複数顧客の製品ロードマップに沿って動く多極体制へ移る格好だ。
市場調査会社トレンドフォースも、HBM総需要に占めるエヌビディア比率が昨年の66%から今年は58%に低下すると見通した。グーグルのTPUなどクラウドサービス事業者(CSP)による自社AIチップ導入が増え、今年のAIサーバー出荷でASICベース製品の比率も27.8%に達する見込みだとした。
◇ グーグル、TPUの世代交代ごとにHBM搭載量を拡大
エヌビディアに匹敵するHBM需要先として浮上したグーグルは、TPUの世代が変わるたびにチップ1個に搭載するHBM容量を増やしている。第7世代TPUである「アイアンウッド」はチップ当たりHBM192GBを搭載した。今年公開した第8世代TPU「8t」「8i」にはそれぞれ216GBと288GBのHBMが入る。帯域幅は毎秒6.5TB(テラバイト)と8.6TBで、大規模AIモデルの演算結果を速やかにやり取りできるよう容量と処理速度を同時に高めた点が特徴だ。推論用TPU 8iのHBM容量はアイアンウッドより50%多い。モルガン・スタンレーは、グーグルが今後公開する第9世代TPUにHBM4Eが採用され、TPU 8iの2倍に当たる576GBが搭載され得ると分析した。
グーグルは自社データセンターとグーグルクラウドで使っていたTPUを顧客企業のデータセンターに直接供給する事業も始めた。グーグルの親会社アルファベットは今年第2四半期の決算発表で、顧客データセンターにTPUシステムを初めて納入し関連売上を計上し始めたと明らかにした。
TPUの演算資源を貸し出す従来方式から脱し、新たな収益源を確保した格好だ。顧客データセンターにTPUシステムを直接設置する形で事業領域を広げ、HBM需要も同時に増加することになった。
グローバル投資銀行バークレイズは、グーグルの外部供給向けTPU規模が今年約100万個・1.4GW(ギガワット)から2028年に約474万個・11.5GWへ拡大し得ると分析した。2028年の外部TPU事業売上は約2527億ドル(約361兆ウォン)に達すると試算した。
◇ AMD「ヘリオス」1台にHBM4を31TB
GPU1個に入れるHBM容量を競合より拡大して競争力確保に動くAMDも、メモリー市場の新たな「大口」として台頭した。次世代AIアクセラレーター「インスティンクトMI455X」にはHBM4の432GBが入る。エヌビディア「ルービン」GPUのHBM4 288GBより50%多い。MI455Xを72基束ねたラック単位のAIシステム「ヘリオス」1台には計31TBのHBM4が搭載される。AMDはヘリオスの初回出荷を開始し、今年第4四半期から供給量を本格的に増やす計画だ。すでにOpenAI・Meta(メタ)・MS・Anthropicなど大手AI企業を顧客として確保した。
AIアクセラレーター市場でグーグル・AMDなど非エヌビディア陣営の存在感が増すなか、サムスン電子・SKハイニックス・マイクロンのHBM供給競争は一段と過熱する見通しだ。従来はエヌビディアが要求する性能を満たすかどうかで供給規模が分かれていたが、今後は顧客ごとのアクセラレーター特性に合わせた製品を適時に供給する能力が重要になったためだ。業界では、エヌビディア向けサプライチェーンでは依然としてSKハイニックスが優位に立つ一方、非エヌビディア顧客群ではサムスン電子の影響力が増しているとの分析が出ている。サムスン電子はDRAM・ファウンドリー・先端パッケージングを一括提供するターンキー能力と、10ナノ級第6世代(1c)DRAMプロセスを前面に出し、HBM4移行期から存在感を高めている。
サムスン電子は先月の第2四半期決算発表で「今年第3四半期のHBM4売上は前四半期比で3倍以上に拡大する見通しだ」とし、「下半期中に全体DRAMシェアと同等水準のHBMシェアを確保する」と述べた。市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、サムスン電子は今年第2四半期の売上基準で世界DRAM市場においてシェア39%で首位だった。グローバル投資銀行UBSが来年のHBMビット出荷量基準のシェアをサムスン電子41%、SKハイニックス39%、マイクロン20%と予想したのも、非エヌビディア顧客向け供給の変化が反映された結果との見方が出ている。
半導体業界関係者は「HBMの需要先がエヌビディア中心からグーグルやAMDなどへ広がり、顧客別の製品ロードマップとサプライチェーンの重要性が増している」と述べ、「HBM4とHBM4Eの移行期には、生産能力だけでなくアクセラレーターに合わせた設計・工程・パッケージングの能力がシェアを左右する」と語った。