AIデータセンター投資の拡大を追い風に、企業向けSSD(eSSD)の輸出単価が過去最高を記録した。ただしAIサーバー向けの高付加価値品が市場を牽引する中で、汎用NAND価格の上昇鈍化の流れが覆い隠されているとの分析が出ている。業界では、eSSDの価格堅調がNAND市場全体の回復に映り得るものの、汎用NANDは依然として供給負担が続いており、製品群ごとに市場を切り分けて見る必要があるとみている。

サムスン電子がAIインフラに最適化した企業向けSSD(eSSD)「PM1763」の量産を開始した。/サムスン電子 提供

4日、関税庁の輸出入貿易統計によると、7月のSSD輸出単価はkg当たり2万5072ドルで前月比19%上昇し、関連統計の作成以降で最高値を記録した。これに対しフラッシュメモリー(NAND)の輸出単価はkg当たり6万1751ドルで前月より1%下落した。

関税庁はNANDフラッシュチップとSSDを別個の品目として集計している。NANDはスマートフォンやPC、サーバーなどに搭載されるメモリー半導体である一方、SSDはNANDを基盤に作った完成品の記憶装置である。とりわけAIデータセンターに供給される企業向けSSDは一般消費者向けSSDよりも容量と性能が高く、平均単価も高い。

業界では今回のSSD輸出単価の上昇を、単純な値上げというよりAIサーバー向け大容量eSSDの出荷拡大に伴う製品ミックスの変化の影響とみている。関税庁の輸出単価は輸出金額を純重量で割った値であり、製品価格だけでなく高付加価値品の比重が高まった場合にも上昇し得る。AIデータセンター投資の拡大で大容量eSSDの出荷比率が着実に拡大し、SSDの平均単価も併せて上がったという説明である。

業界関係者は「AIデータセンター投資の拡大に伴い、企業向けSSDの出荷量が着実に増えている」と述べ、「今回のSSD輸出単価の上昇も、単純な値上げというより大容量eSSDの比重拡大に伴う製品ミックスの変化の影響が大きい」と語った。

一方で汎用NAND市場はAIサーバー向けeSSDとは温度差を見せている。スマートフォンとPCの需要は前年より改善しているが、回復ペースは限定的であるうえ、メーカーのプロセス転換に伴うビット(Bit)供給の増加が続き、汎用品を中心に供給負担と供給過剰への懸念が持続しているとの分析だ。AIサーバー向けeSSDがNAND市場の成長を牽引しているが、汎用品は需給環境が相対的に弱いだけに、両市場を切り分けて見る必要があるとの指摘である。

市場調査会社トレンドフォースも、今年のNAND市場の中核成長ドライバーとしてAIサーバー向けeSSDを挙げている。AIデータセンター投資の拡大で企業向けSSDの需要は堅調な一方、スマートフォンとPCなど消費者向け市場は購入が依然として慎重に行われており、汎用NAND価格の上昇幅は限定的になると展望した。業界では、AIサーバー向けeSSDの強さが汎用NAND市場の鈍化基調を覆い隠す「錯視効果」を生んでいるとの分析も出ている。

メモリー各社の事業戦略も企業向け製品中心に再編されている。サムスン電子は最近の第2四半期決算発表で、下半期のNAND事業戦略としてAI中心の製品ミックスを拡大し、PCIe Gen6ベースの企業向けSSDとAIサーバー向けKV(Key-Value)キャッシュSSDの供給を強化すると明らかにした。SKハイニックスもソリダイムとともに高性能TLCと大容量QLCベースの企業向けSSD製品群を拡大し、AIデータセンター需要に対応している。

業界関係者は「AIサーバー向けeSSDの価格と出荷があまりに強含むため、NAND市場全体が良好に見える可能性がある」と述べ、「しかし汎用NANDは消費者向け需要の回復が限定的なうえ、供給負担も依然として残っているため、両市場を区別して見る必要がある」と語った。

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