Anthropic研究陣が最先端の人工知能(AI)モデル「Claude Mythos Preview」を活用し、まだ標準化されていない量子耐性暗号(PQC)アルゴリズムを分析して新たな攻撃手法を見いだした。
Anthropicは28日(現地時間)、自社研究陣が次世代暗号体系として取り沙汰されるホーク(HAWK)の新たな脆弱性を発見したと明らかにした。ホークは米国立標準技術研究所(NIST)が量子コンピューター時代に備えて標準化を進めている次世代電子署名アルゴリズム候補の一つである。
Mythosは約60時間でホークのセキュリティ強度を低下させ得る新たな暗号解析手法を見つけた。暗号を解読したわけではないが、攻撃者が暗号を解読するのに必要な時間を大幅に短縮すると研究陣は説明した。
研究陣によれば、Mythosは縮小(round-reduced)版の高等暗号化標準(AES)を対象とした試験でもハッキングの脆弱性を見いだした。AESは2001年にNISTが標準として採択して以来、最も多く検証を受けた共通鍵暗号の一つである。実際のインターネットバンキングなどの金融取引、メッセンジャーの保護、国家機密の防護など複数の領域でハッキングを防ぐ安全標準である。
暗号学の研究ではAESの安全性を評価するため縮小版のAESを主に分析するが、Mythosは「メビウス・ブリッジ(Möbius Bridge)」という新しいアルゴリズムを活用し、攻撃速度を人間の専門家より200〜800倍高めた。
Anthropicは「2つの研究結果は現在運用中の実際のコンピューターシステムには影響を及ぼさない」とし、「ホークはまだ標準として採択されていない候補アルゴリズムで、実サービスに適用されておらず、2番目の攻撃はAES全体ではなく縮小版にのみ適用されたため、現在使用中のAESが脅威にさらされたわけではない」と述べた。
しかし、MythosがAESと次世代暗号標準も攻撃し得るという事実が明らかになった以上、今後高性能AIがインターネット標準の暗号体系を無力化する可能性が高まったとの懸念も出ている。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「過去の研究では大規模言語モデル(LLM)は暗号学分野で人間を上回れないとされてきたが、いまやこの認識が誤りであることが明らかになった」とし、「中長期的に大きな論争が予想される」と伝えた。