データベースと企業向けソフトウエアで安定成長を続けてきたオラクルが創業以来最大の勝負に出た。2025年9月の180億ドル(約27兆1,440億ウォン)に続き、2026年2月にも250億ドル(約37兆6,950億ウォン)規模の社債を発行し、人工知能(AI)データセンター投資に乗り出したためである。オラクルは「AMD、Meta(メタ)、エヌビディア、オープンAI、TikTok、xAIなどクラウドインフラ顧客企業の契約済み需要を満たすための追加的なインフラ容量構築に向け資金調達に踏み切った」と説明した。
しかし市場の反応は必ずしも良くない。国際格付け会社S&Pは9日(現地時間)、オラクルの格付けをBBBからBBB-へ1段階引き下げた。BBB-は投資適格のうち最下位で、もう1段階下がれば投機的等級である。S&Pが懸念したのはAIそのものではない。高い収益率と安定的なキャッシュ創出能力を備えた企業が、巨額の先行投資を要するAIデータセンター事業へ体質を転換し、財務構造が従来より投資と景気サイクルに一段と敏感になり得るという指摘である。
株価もこうした懸念を織り込んでいる。オラクル株は2025年、AI成長期待を追い風に史上最高水準まで急騰し、9月の取引時間中に328.33ドルを付けた。年初に160ドル前後だった株価が2倍以上に上昇した格好だ。だが9月に180億ドル規模の社債発行を発表して以降、AIインフラ投資拡大に伴う大規模な借入と財務負担への懸念が強まり、株価は下落基調に転じた。株価は2026年2月5日に136.48ドルまで押し戻された後、上下を繰り返している。とりわけ先月10日(現地時間)に公表した2026会計年度第4四半期(3〜5月)決算では、売上高192億ドル、調整後営業利益86億ドルを計上し、いずれも前年同期比21%、22%増と市場予想を上回る成長を示した。それにもかかわらず時間外取引で株価は約10%下落した。2023年第3四半期以来初めて売上成長率が20%を超えたが、クラウド売上が市場予想をやや下回ったうえ、AIインフラ拡大に向けた巨額投資と借入に起因する財務負担懸念が改めて浮上したことが影響したとみられる。
AI投資がオラクルの火種となるのか、後発の反撃に向けた勝負手となるのかが注目される。
◇ 後発のオラクルがベットに出る理由は
オラクルは1977年の設立後、世界最大の企業向けデータベース企業へ成長した。2010年代半ばまではデータベースやERP(基幹業務システム)などのライセンス販売が中核だったが、2018年に第2世代クラウド(Gen2 OCI)を投入し、クラウド企業への転換を本格化させた。その後、企業向けソフトウエアをクラウド基盤のサブスクリプションサービスへ再編し、生成AIが普及した2023年からは、AIモデル開発ではなくGPU(グラフィックス処理装置)スーパークラスターとデータセンターを軸とするAIインフラ戦略へ重心を移した。
現在オラクルはクラウド市場でアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、マイクロソフトAzure、グーグル・クラウドに次ぐ4位の事業者である。シナジー・リサーチ・グループによると、オラクルのシェアは約2〜3%で、上位3社との差は大きい。それにもかかわらず、オラクルが借入に踏み切ってAI競争に参入したことで、市場の反応は懸念の方が大きいようだ。
オラクルの大規模投資は、AI産業の競争様式が技術中心から資本中心のインフラ先占へ移りつつあることも意味する。従来のクラウド事業は顧客がつけばサーバーを増設するのが一般的だったが、AIデータセンターは異なる。GPUの確保、電力インフラ、冷却設備、超高速ネットワークなどを顧客契約以前から整備しなければならない。顧客が生じてから投資しては手遅れだ。結局、AI時代には後発でも市場に参入するには巨額の先行投資が不可避である。
サフラ・キャッツオラクルCEOも「今後数カ月以内に追加で数十億ドル規模の顧客を獲得し、将来の契約残高(RPO)は5,000億ドルを上回ると見込む」と述べた。ラリー・エリソンオラクル会長は投資の背景について「長期契約(RPO)が急増したため、その契約を履行するデータセンターを建設しなければならない」と説明してきた。
◇ AI専用クラウドで隙を突く戦略は通用するか…「方向性は正しいが財務負担は重い」
オラクルの戦略は当初からGPTやGeminiのようなAIモデルを自ら作ることではない。代わりに汎用クラウドだけでなく、AIモデルを学習し運用するクラウドインフラ事業者になるという戦略である。汎用クラウド事業ではマイクロソフトやグーグルと競合する一方で、これらを含めオープンAIやxAI、Meta(メタ)のようなAI企業が利用するコンピューティングインフラを提供する事業者になるということだ。
こうした背景にはラリー・エリソンオラクル会長の哲学も重なる。エリソン会長は、AI産業は今後「学習(Training)」より「推論(Inference)」中心で成長すると見ている。エリソン会長は最近「オラクルの中核目標は、AIシステムが安全に公開・非公開の高付加価値データにアクセスし、データを露出させずに推論できるようにすることだ」とし「世界で最も価値あるデータの大半はすでにオラクルのデータベースの中にある。われわれはAIがそのデータに基づき推論できるようデータベースを進化させている」と述べた。
オラクルが注力する市場は汎用クラウドだけでなくAI専用クラウドである。AWSとマイクロソフトAzureがすでに掌握した汎用クラウド市場を正面から追うのではなく、GPUクラスターとAIデータセンターに集中する戦略を選んだ。
専門家はオラクルの方向性は妥当だが、財務的負担は大きいとみている。IT市場調査会社バルーアのCEO、レベッカ・ウェタマンは「オラクルのマルチクラウド戦略と企業データの強みがAI成長の中核ドライバーだ」と評価した。一方、S&Pは「拡大するAIインフラ事業が既存の安定的な事業構造を希薄化している」と指摘した。