人工知能(AI)市場の後発であるMeta(メタ)とイーロン・マスクが率いるスペースXAIが、価格を大幅に引き下げた高性能AIモデルを相次いで投入した。企業が高騰するAIコストを抑えるために「トークン節約」に動く中、価格競争力を前面に出して企業向けAI市場の攻略を急ぐ構図である。
フェイスブックの親会社Meta(メタ)は10日、コーディングとAIエージェント作業に特化した最新モデル「ミューズ・スパーク-1.1」を公開し、開発者向けの有料API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を導入すると明らかにした。Meta(メタ)が企業顧客に自社AIモデルの使用対価として利用料を課すのは今回が初めてである。利用料は100万トークン当たり入力値1.25ドル、出力値4.25ドルに設定した。トークン(token)とはAIモデルが情報を処理し回答を生成する際に用いる基本単位である。
価格はオープンAI、Anthropicなど競合各社の最上位モデルの約4分の1水準である。Anthropicの高性能モデル「オーパス4.7」の場合、100万トークン当たりの入力値は5ドル、出力値は25ドルだ。マーク・ザッカーバーグMeta(メタ)最高経営責任者(CEO)は「他のAI企業の価格政策は極端で、利益率も過度に高い」とし「最先端AIをはるかに安価に提供し、できるだけ多くの人がMeta(メタ)の技術を利用できるようにする」と述べた。
前日、スペースXAIもAIコーディング企業カーサーと共同開発した最新モデル「グロック4.5」を披露した。コーディングと推論、AIエージェント作業に強みを持つ高性能モデルである。スペースXAIは「グロック4.5」が主要AIモデルより「トークン効率(token efficiency)」が2倍高いと強調した。新モデルの利用料は100万トークン当たり入力値2ドル、出力値6ドルに算定し、Anthropicオーパス4.7より価格が半分以下である。
マスクCEOは「内部評価の結果、グロック4.5はオーパス4.7と性能が互角だが、速度ははるかに速くコストは低い」とし「性能指標ではなく実際の活用価値を中心にモデルを開発しており、テスラとスペースXの中核開発者がグロック4.5を有用だと評価している」と主張した。
スペースXAIとMeta(メタ)はこの間、AIモデルの性能と市場シェアの面でオープンAI・Anthropic・グーグルに後れを取っているとの評価を受けてきた。これに対し、比較的安価な価格とトークン効率性を前面に出し、企業顧客の獲得を図る試みとみられる。AIエージェントの普及で企業のトークンコスト負担が増す中、中国製の低価格AIモデル導入が増え、AI市場競争の重心が性能から効率へ移る流れを反映した動きと受け止められる。
市場調査会社ガートナーは年末までに企業の40%が企業用ソフトウエアに、個別の指示がなくても自律的に業務を遂行するAIエージェントを搭載すると予測した。昨年は5%未満にとどまった比率が1年で急増するとの見方である。これに伴い企業のトークン費用も急増すると見込まれる。業務ごとに多少異なるが、AIエージェントはChatGPTのようなAIチャットボットと比べ、トークンを少ない場合で数十倍から多い場合で1000倍以上使用するとされる。
企業も単純業務には安価な中国製AIモデルを使い、高難度のコーディング作業には米国製の高性能モデルを適切に組み合わせて用いる方式でトークン節約に乗り出している。ディープシークをはじめとする中国製オープンウエイトモデルは、米国の高性能モデルより価格が約60〜90%安い。
オープンAIとAnthropicも後発の追撃に機敏に対応している。この日、オープンAIは最先端AIモデル「GPT-5.6」を正式に発売し、ソル(Sol)・テラ(Terra)・ルナ(Luna)の計3モデルを束ねて披露した。コーディングとエージェント能力を大幅に強化したこれらのモデルは、性能と費用効率性がそれぞれ少しずつ異なるよう設計された。最上位モデルのソルはAnthropicの最先端モデル「Claude Mythos5」に匹敵する性能を備え、ルナは「GPT-5.5」に近い性能で費用は半分水準とし、費用効率を最大化した。
オープンAIも高いトークン効率性をGPT-5.6の強みとして挙げた。同社によると、ソルモデルは同一の推論作業をAnthropicの「フェーブル5」の4分の1の費用で処理でき、速度は61%速かった。テラとルナはフェーブル5比で16分の1水準の費用で推論業務を遂行した。全般的なAI効率を高めるため、今回「ウルトラ」設定も導入した。複数のエージェントを並列で調整し、複雑な作業を迅速に処理する方式である。会社関係者は「GPT-5.6は前世代モデルはもちろん、競合の最上位モデルより少ないトークンと低コストでより多くの作業をこなせる」とし「1ドル当たりの性能が大きく向上した」と説明した。
サム・アルトマン オープンAICEOは「いま企業はAIに支出する費用でどんな価値を得ているのかに注目している」とし「GPT-5.6 ソルはエージェンティック・コーディング作業のトークン効率を54%高めた」と述べた。