米インテルと日本のソフトバンク子会社サイメモリ(SAIMEMORY)が開発中の次世代人工知能(AI)向け半導体「Zアングルメモリ」(Z-Angle Memory・ZAM)関連技術が前進した。最近、世界最高権威の半導体学会で9層に積層した3次元(D)高帯域DRAM構造を公開し、データ移動エネルギーと伝送電力を下げる積層技術を実証した。ZAMは米国と日本の政府が開発を支援する次世代メモリ半導体で、韓国が掌握する高帯域幅メモリ(HBM)市場に亀裂を入れる性格を持つと評価されている。
業界では今回の技術的進展と同じくらい発表主体にも注目している。2月にインテルとサイメモリの協力発表当時、前面に出ていなかった台湾のパワーチップ半導体製造(PSMC)とAPメモリも研究陣に名を連ねたためだ。PSMCはメモリ工程の経験を持つ台湾のファウンドリー(半導体受託生産)企業で、APメモリは低消費電力メモリと知的財産権(IP)を設計する台湾のファブレス(半導体設計)企業である。韓国のメモリ半導体覇権をけん制するため、米国の源泉技術と日本の資本・政府支援に加え、台湾の製造・設計エコシステムまで合流した連合戦線が構築されたとの評価が出ている。
◇ 米・日ZAM技術に台湾の製造・設計エコシステムが合流
26日半導体業界によると、サイメモリ・インテル・PSMC・APメモリの研究陣は「2026 IEEE/JSAP 超高密度集積回路シンポジウム」(VLSI Technology & Circuits)で9層3D高帯域DRAM構造を発表した。VLSIは国際電子デバイス会議(IEDM)・国際固体回路会議(ISSCC)と並ぶ世界3大半導体学会とされる。今回の技術発表は18日に米国ハワイ・ホノルルで開かれたシンポジウムの公式テクニカルハイライトに含まれた。
発表テーマは「高帯域3Dメモリのための9層マルチウエハ、3µm超薄シリコン、フュージョンボンディング基盤ビア・イン・ワン構造」(Multiple-Wafer (9-layer), Extreme thin (3µm-Si per stack) and Innovative Fusion-bonded Via-in-one Architecture for High Bandwidth 3D Memory)だ。
フュージョンボンディング(fusion bonding)は複数枚のウエハを接着剤なしで原子レベルに近い形で貼り合わせる工程であり、シリコン貫通電極(TSV・Through-Silicon Via)はチップを垂直に貫いて上下の回路を電気的に接続する通路を指す。ビア・イン・ワン(Via-in-one)構造は複数層を貼り合わせた後、この垂直通路を一つの接続構造のように作り、各層の金属配線と直接つなぐ方式である。
発表抄録などを見るとZAMという単語は直接出てこない。だが研究陣が考案した技術はZAMと密接だ。HBMがDRAMを層状に積み上げ垂直TSVで接続する方式であるのに対し、今回の論文は1個のロジック層の上にDRAM層8個を積んだ9層構造で、超薄シリコンとビア・イン・ワンTSVを組み合わせ、データ移動電力と接続抵抗を下げることに焦点を当てた。
業界ではこの技術をZAM商用化の流れと接する技術実証とみる。今回の技術を発表したサイメモリ所属研究員スティーブン・モレインは5月の国際メモリワークショップ(IMW)で「高帯域DRAMの挑戦と革新:Zアングルメモリ事例」(Challenges and Innovations in High-Bandwidth DRAM: The Case for Z Angle Memory)という先行開発性格の論文を発表した。この論文は、ZAMが既存HBMの電力・発熱・歩留まり・システム統合の問題を解決するため、縦スライス構造、ビア・イン・ワンボンディング、誘導結合入出力(I/O)を組み合わせたメモリ構造だと説明した。
市場調査会社トレンドフォースはZAMの協力体制について「PSMCが試作品生産と製造で中核的役割を担った」とし、「米・日・台湾の次世代AIメモリ推進はHBMを超える代替メモリのロードマップを策定し、既存サプライチェーンへの依存度を下げるきっかけになり得る」と述べた。
◇ HBMは『エレベーター』、ZAMは『エスカレーター』…熱の逃し方を変えて"盤"を揺さぶる
ZAMが注目される理由は、サムスン電子とSKハイニックスが主導するHBM市場を狙った技術であるためだ。カウンターポイント・リサーチによれば今年1~3月期の売上高基準の世界HBM市場シェアはSKハイニックス58%、サムスン電子21%、マイクロン21%だった。HBMはエヌビディア・AMDなどAIアクセラレータに大量のデータを供給する中核メモリで、供給が需要に追いつかない高付加価値製品であるため莫大な収益の源泉となっている。
HBMはDRAMダイを層状に積み、TSVで垂直の通路を開けて各層を接続する。高層建築の真ん中にエレベーターを設置して複数階を素早く昇降する方式に例えられる。データ移動距離が短く速度は速いが、層が高くなるほど熱が中央部にこもりやすい。
ZAMはこの問題を構造自体を変えて解決しようとする。HBMが垂直のエレベーターであるなら、ZAMは階と階の間を斜めに結ぶエスカレーターを複数方向に配置する方式に近い。データと熱が一つの垂直通路に集中せず、縦に立てたメモリスライスに沿って移動し、抜け出せるようにするものだ。サイメモリは、ZAMが各スライスごとに連続的な熱伝導経路を作り、個々のDRAM層内にTSVを開ける必要を減らすことでHBMの発熱・歩留まり問題を緩和できると説明する。
業界ではサイメモリ研究陣がVLSIでZAM実現に向けた核心の積層技術を示したとの評価が出ている。研究陣はロジック層1個の上にDRAM層8個を積んだ計9層構造を実装した。各DRAM層のシリコン基板の厚さは約3µmに減らし、各層に約1万3700個のビア・イン・ワンTSVを配置した。各金属配線層をTSVバスに直接接続して信号と電力伝達の安定性を高めることが要点だ。
研究陣はこの構造がデータ移動エネルギーを0.7pJ/bit未満に下げられると説明した。さらに0.25Tb/s/㎟水準の帯域幅密度を実現できると明らかにした。データ伝送電力は0.35W/㎟未満と示された。研究陣は0.95~1.2Vの範囲で9層DRAMの機能検証と信頼性テストにも成功したと発表した。
これらの数値はZAMが単なる設計案ではなく、実際の積層構造として動作し得ることを示す。同一チップ面積内でより多くのデータを往来させつつ、その過程で必要な電力と発生する熱を下げられるという意味だ。ただし、まだ顧客検証や量産歩留まりが確認されたわけではない。
◇ 米源泉技術・日補助金の結合…2029年商用化を目標
ZAMは米国と日本の政府の積極的な支援の下で開発が進んでいる。先にインテルとサイメモリは2月にZAM開発協力を発表し、米国エネルギー省(DOE)と国家核安全保障局(NNSA)が管轄した先進メモリ技術(AMT)プログラムの研究成果を活用すると明らかにした。AMTプログラムにはサンディア・ローレンスリバモア・ロスアラモス各国立研究所が参加し、インテルはこれを通じて次世代DRAM接合(NGDB)技術を検証した。NGDBは既存DRAM積層方式の電力と容量の限界を低減するための技術基盤で、サイメモリはこれを土台にZAMを商用化する計画だ。
日本政府もZAMを次世代半導体製造技術の補助事業に採択した。日本の経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月、サイメモリとインテル日本法人が推進する「高密度・広帯域・低消費電力ZAM開発」プロジェクトをポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業に選定した。
日本政府は生成AIモデルの大型化に伴い、GPUの演算性能よりもメモリ帯域がボトルネックになっており、現行HBMには熱滞留など構造的な問題があると説明した。一部の日本の現地メディアはNEDOの支援額が最大38億円規模だと報じた。サイメモリはこれと併せて富士通・日本政策投資銀行・理化学研究所(RIKEN)・ソフトバンクを対象とするシリーズA資金調達も進めた。
◇ 韓国も垂直積層の速度戦…「台湾の合流は量産エコシステム拡大」
もちろんZAMが直ちに市場で中核AIメモリとして浮上したHBMを代替するのは難しい。顧客検証、量産歩留まり、国際標準、AIアクセラレータのパッケージ適用、大規模供給能力など、技術開発以外にも多様な課題が残っているためだ。現在公開された9層3D高帯域DRAM構造も8個のDRAM層基準で約9GB水準である。HBM4がスタック当たり数十GBの容量を実現した点を考えると、まだ差が大きい。
サイメモリとインテルも2028年3月までに試作品を作り、2029年の商用化を目標に技術開発を進めている。現在主に用いられる第5世代HBM(HBM3E)や次世代HBM(HBM4)を直ちに代替するというより、2029年以降のポストHBM市場で競合する代替候補とみるのが現実的だ。
韓国のメモリ半導体企業もこの追撃に対抗し、垂直積層技術の開発スピードを上げている。サムスン電子はVLSI 2026で16層垂直積層DRAM(VS-DRAM)を発表した。DRAMでも単純な微細化ではなく「上に積む方式」で集積度の限界を超える戦略だ。
SKハイニックスも次世代DRAM構造を別途発表した。SKハイニックスはVLSI 2026で4F²垂直ゲート(VG)DRAMの電気的特性を公開した。4F²はDRAMセル一つが占める面積を理論的に最小化する構造を意味する。既存の平面構造ではこれ以上セル面積を縮小しにくくなったため、セルトランジスタのゲートを垂直方向に立てて集積度を高めようとするアプローチだ。
ZAMがHBMの代替メモリ供給網を狙うなら、サムスン電子とSKハイニックスは既存のメモリ主導権を維持するため、DRAMセルとロジック素子の双方で垂直積層競争にスピードを上げている格好だ。
匿名を求めたある半導体学科の教授は「世界の半導体生産エコシステムを主導している台湾企業の合流は、単なる技術協力を超え、実際の商用化に必要な工程・パッケージング・検証ノウハウが融合する意味がある」と述べ、「量産技術は多様な環境で繰り返し実証できる資金力とエコシステムが左右するだけに、競合国の支援を受けた代替技術が予想より速く差を縮める可能性を警戒すべきだ」と語った。