サムスン電機の人工知能(AI)サーバー向け超大容量MLCC製品の画像/サムスン電機

サムスン電機の株価が2日連続で上場来高値を更新した。サムスン電機は18日、前取引日比8.27%高の220万円で取引を終え、19日も上昇基調が続き、取引時間中には241万7000ウォンまで上昇した。

年初の株価と比べると約760%上昇したことになる。人工知能(AI)サーバー需要が高帯域幅メモリー(HBM)はもちろん、半導体基板であるフリップチップボールグリッドアレイ(FC-BGA)、積層セラミックコンデンサー(MLCC)にまでボトルネック部品を生み出している点が、株価を押し上げた原動力に挙げられる。

ただし市場では、サムスン電機の株価上昇が続くには自社の競争力だけでなく外部変数も併せて見るべきだとの分析が出ている。グローバルMLCC首位企業である日本の村田製作所(ムラタ)の価格・増産戦略が、サムスン電機の販売価格(ASP)・長期供給契約(LTA)・シェア防衛戦略に影響を及ぼし得るためである。

<b>◇ 目標株価300万円が登場…前提は「販売価格上昇」</b>

AI市場の拡大に伴い、サムスン電機の主要品目であるMLCCと半導体基板の需要がともに増加している。KB証券は19日、サムスン電機の目標株価を従来の220万円から300万円へと36%引き上げた。MLCCとパッケージング基板が超好況期に入っており、少なくとも2年間は供給不足が続く可能性があるとの判断を反映したものだ。

金融情報会社FnGuideが集計したサムスン電機の今年第3四半期連結業績コンセンサスは、売上3兆4570億ウォン、営業利益4700億ウォンである。前年同期比で売上は19.7%、営業利益は80.6%増加する水準だ。年間営業利益コンセンサスは1兆5895億ウォンで、前年比74.0%増加し得るというのが証券会社の共通した分析である。

ただしこうした数字は複数の前提が満たされてこそ現実化し得る。▲AIサーバー向けMLCCの供給不足が実際の販売価格引き上げに繋がり、▲顧客企業がLTAを通じて数量を事前に確保し、▲サムスン電機が村田製作所にシェアを奪われず高付加価値製品の比率を高めることが可能な成果だということだ。

逆に村田製作所が価格・増産戦略を素早く調整したり、顧客企業が値上げに抵抗したり、サムスン電機が値上げと増産の順序を誤れば、業績見通しも変わり得る。

日本の村田製作所MLCC生産ライン/村田公式サイトより

<b>◇ 競合の多いMLCC市場…AIサーバー向けも変数が大きい</b>

AI拡大に伴う需要の急増と品薄現象は、メモリー半導体に続きFC-BGAとMLCCでも表れている。

しかしサムスン電機の株価上昇を牽引した要因がどれほど持続するか、実際に業績上昇にどう作用するかは、より綿密に見る必要がある。HBMをはじめとするDRAMはサムスン電子・SKハイニックス・マイクロンが市場を事実上左右する構造だが、MLCCはプレーヤーがより多い。

市場調査会社データインテロによれば、2025年の世界MLCC市場シェアは売上基準で村田製作所28〜30%、サムスン電機22〜24%、TDK 11〜13%、太陽誘電8〜10%、Yageo 7〜9%水準と推定される。

証券街では、AIサーバーに搭載される高仕様MLCCでは村田製作所(45%)とサムスン電機(40%)が市場を事実上二分していると推定している。両社がAIサーバー向けMLCC市場の主導権を握る構図ということだ。しかし両社が高仕様製品に生産を集中するほど、汎用品では他社が機会をつかむ余地もある。サムスン電機が収益性の高いAIサーバー向け製品だけに生産を集中できる構造ではないということだ。

<b>◇ 村田製作所が先に動いてこそサムスン電機の販売価格上昇が可能</b>

サムスン電機は2017〜2018年のMLCC好況期に先制的に販売価格を引き上げた経験がある。この余波でサムスン電機は一部の顧客企業を他社に明け渡し、シェア低下を経験し、これを回復するだけで3〜5年を要した。今回の好況期には村田製作所が先に動き、顧客の反応が確認された後にサムスン電機が対応する可能性が高いとの分析が出ている。

村田製作所の戦略によってサムスン電機の業績成長幅が決まる格好である。業界と証券街によれば、村田製作所は最近、MLCCの値上げ率15〜35%を顧客企業に通知したと伝えられている。村田製作所は4月末の決算発表でも、2026会計年度のサーバー関連コンデンサー売上が前年比85〜90%増加し、コンデンサー全体の平均販売価格(ASP)は5〜10%上昇するとの見通しを示した。

iM証券は、MLCCの販売価格が10%上昇する場合、サムスン電機の2027年の営業利益が2兆5000億ウォン水準に拡大し得るとみている。20%上昇する場合は営業利益が3兆1000億ウォンまで増加し得ると示した。逆に値上げが顧客の抵抗に遭ったり、サムスン電機が数量を一部失えば、業績予想は下方修正され得る。

サムスン電機水原事業場の全景/サムスン電機

<b>◇ 増産しないから上がる株価…発表の瞬間にリスクとなる可能性も</b>

MLCCの品薄現象はすでに表れている。市場調査会社トレンドフォースは、一部の高容量X6S MLCCのリードタイムが従来の8週から最大20週まで延びたと分析した。発注後に物を受け取るまで約5カ月かかり得るという意味だ。

現在、MLCC関連銘柄が上がっているのは、増産が十分に行われていないことに伴う値上げ期待感のためでもある。AIサーバー向け高仕様MLCC需要は急速に増えているが、供給企業は短期間に大規模な増産を公式化していない。需要は見えるのに供給増が限定的であれば価格が上がり、利益率が改善されるとの期待が生じる。

村田製作所はデータセンター需要に対応するため、コンデンサー投資を拡大している。データセンター関連需要の拡大を取り込むため、小型・大容量コンデンサーと電源モジュールを主要成長課題に掲げてもいる。ただし、増産効果が実際の高仕様MLCC供給増に繋がるまでには時間が必要だ。AIサーバー向けMLCCは一般MLCCより製造リードタイムが長く、歩留まり確保も難しいためである。

サムスン電機にも増産の必要性はある。サムスン電機は今年第1四半期の決算発表で、AI関連需要が従来の予想より速く増えており、投資規模が前年の2倍以上に増加し得て、今後3年間の投資規模も過去より大きく増える可能性があると説明した。iM証券はサムスン電機の今年の設備投資規模を1兆8000億ウォン以上と推定した。ただし、市場が最も敏感に見るAIサーバー向けMLCCの新ライン稼働時期や具体的な生産能力拡大規模に関する大規模な公式発表は、いまだ限定的である。

業界関係者は「供給不足が維持される間は、サムスン電機と村田製作所はサプライヤー優位を占め得る」としつつも、「ある瞬間に大規模な増産計画が公式化されれば、市場は供給不足が終わる時点を前倒しで織り込むだろう」と述べた。

サムスン電機が増産を早く公式化すれば、ボトルネック・プレミアムを自ら削ることになり得る。逆に増産が遅れれば、顧客企業の数量を村田製作所に奪われ得る。業界では、サムスン電機が村田製作所の投資スピードと値上げの強度、顧客企業のLTA要求を見極めながら、MLCC供給戦略を調整する可能性が大きいとみる。

<b>◇ AIサーバー・自社ASICの拡散…MLCC需要「爆発」</b>

さまざまな変数はあるが、MLCC需要が爆発的に増加している点は明白だ。MLCCは電気を蓄え、各種電子機器に安定的に供給し、電圧変動とノイズを低減する部品である。スマートフォン、PC、自動車など大半の電子機器に搭載され、「電子産業のコメ」とも呼ばれる。

MLCCは電力を使用する中央処理装置(CPU)・グラフィックス処理装置(GPU)・特定用途向け集積回路(ASIC)などAI半導体にも不可欠だ。AIサーバーは一般サーバーより電力消費量がはるかに大きく、GPUやASICの周辺で瞬間的な電力変動が大きく発生する。電力供給が不安定になるとAIチップの性能が低下したりエラーが発生し得る。狭い空間により小さく、より多くの電気を蓄え、より高い温度に耐えるMLCCが必要な理由である。

AIサーバー向けMLCCはモバイル・IT向け製品より技術難度が高いが、価格も高く収益性を確保するための主力製品だ。スマートフォンの回路基板には約800〜1200個程度のMLCCが搭載される一方、AIサーバーには2万〜3万個ほどが入るとされる。AIチップの性能が高まるほど、より多くのMLCCが要求される場合もある。エヌビディアの次世代AIサーバープラットフォームであるベラ・ルービン系NVL72サーバーには、従来のブラックウェル系GB300より30%以上多い約60万個のMLCCが搭載されると推定される。

AIサーバーのGPUモジュールとベースボード構造。1枚のベースボードに複数のGPUモジュールが装着され、GPU周辺には電力供給の安定化のためMLCCなどのコンデンサー部品が密に配置される/サムスン電機

最近のMLCC需要を刺激するもう一つの軸は、クラウドサービスプロバイダー(CSP)の自社ASIC拡大である。グーグル・アマゾンウェブサービス(AWS)・Meta(メタ)・マイクロソフト(MS)などビッグテック企業は、エヌビディアGPUへの依存度を下げて収益性を高めるため、自社AIアクセラレーターの開発に注力している。

CSPが自社ASICを増やせば、MLCC需要も自然に増加する。ASICもGPU同様に多くの電力を使用し、電力変動を精密に制御する必要があるためだ。トレンドフォースは、グローバルCSPの自社ASIC拡散により高仕様MLCC需要が一部のプレミアム規格に集中していると分析した。需要が47μF 2.5V X6S 0402、100μF X6S系などの高付加価値製品に集まっているということだ。

次世代AIアクセラレータープラットフォームでのMLCC使用量の増加も確認されている。AMD MI450プラットフォームでは、47μF 2.5V X6S 0402 MLCCの使用量が検証過程でボード当たり1440個から1万0544個に増加した。632%の増加だ。エヌビディアのベラ・ルービンプラットフォームでも、100μF 4V X6S 0805 MLCCの使用量がボード当たり320個から500個に増えたと分析された。

今年下半期には、グーグルTPU V8t/i、AWSトレイニウム4、メタMTIA 400・450など主要な自社ASICプラットフォームが量産拡大に入る見通しだ。これらの製品が本格的な生産拡大に入れば、MLCC需要が新たな高値圏に乗せられる構造だ。

<b>◇ サムスン電機の差別化カードはMLCC・FC-BGA・シリコンコンデンサー</b>

村田製作所はセラミック素材・粉末・薄膜積層・超小型化技術などに強みを持つ。MLCCをはじめとする受動部品全般、通信モジュール、高周波部品、電源モジュールを保有する企業だ。AIデータセンターの顧客にMLCCだけを供給するのではなく、電力安定化の部品群全体を提案できる点が強みである。

一方でサムスン電機は、高容量製品とサーバー・車載顧客への対応を通じて、AIサーバー向けMLCCで地位を広げてきた。これに加えて、AI半導体向けパッケージ基板であるFC-BGAとシリコンコンデンサーを保有しており、総合的なAI半導体の電力安定化ソリューションを提示できる点が差別化要因として挙げられる。

サムスン電機の「シリコンコンデンサー」外観/サムスン電機

NH投資証券は、サムスン電機が他のMLCCメーカーと異なりパッケージ事業部を保有しており、シナジーを活用した差別化された競争力が浮上し得ると分析した。単にMLCCだけを供給するのではなく、基板とMLCCを併せて考慮した電力安定化ソリューションを提示できるということだ。サムスン電機は最近、AIサーバー向けGPUやHBMなど高性能半導体パッケージ内部に搭載され、電力供給の安定性を高める部品であるシリコンコンデンサーでも1兆5000億ウォン規模の供給契約を締結した経緯がある。

ある市場調査会社の研究員は「村田製作所がデータセンター向けコンデンサー需要とASP上昇を公式化し、サムスン電機がその流れの中で価格と数量をどれだけ確保できるかが、今後の株価を決定する要因になる」と語った。

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