「すべての企業はエージェンティック・エンタープライズにならなければならない。外部エージェントは24時間顧客と疎通し、内部エージェントは従業員がより価値のある業務に集中できるよう支援すべきだ。」
パク・セジンセールスフォースコリア代表は10日、ソウルのCOEXで開かれた「エージェントフォース・ワールドツアー・コリア2026」基調講演で「今はエージェンティック・エンタープライズへ向かう重要な転換点だ」と述べ、こう語った。
エージェントフォース・ワールドツアーはセールスフォースが世界の主要都市で開催する年次イベントである。この日のイベントは「AIのインスピレーションが現実になる場所」をテーマに開かれ、AIエージェント時代の業務革新戦略と実際の導入事例が共有された。
パク代表はAIエージェントが企業の生産性向上ツールを超えて新たな成長エンジンになると展望した。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、小売分野だけでもエージェンティック・コマースを通じて2030年までに1500兆ウォン規模の追加売上が発生すると予想される。パク代表は、こうした成長は単純なコスト削減や業務効率化ではなく、AIエージェントが新たなビジネス価値を創出した結果だと説明した。
セールスフォースは自社もすでにエージェンティック・エンタープライズへ転換していると紹介した。現在300個以上のAIエージェントを運用しており、これまでに220万件以上の顧客サービスがAIエージェントを通じて処理された。とりわけAIエージェントが創出した営業パイプライン規模は1億3000万ドル(約2000億ウォン)に達する。
メリーアン・パテルセールスフォース・エージェントフォース営業部門最高製品責任者(CPO)は、AI導入の核心は顧客体験よりも従業員体験の革新にあると強調した。メリーアン・パテルは「従業員が単純反復業務ではなく戦略立案と顧客対応に集中できるよう、人間とAIエージェントがともに働く環境をつくらなければならない」とし、「人間とAIエージェントの協業が業務能力の拡張と売上成長につながる」と述べた。
企業のAIエージェント活用事例も公開された。Kraftonは特定業務に最適化した「バーティカル・エージェント」戦略を基盤に業務別AIエージェントを開発・運用している。代表的な事例は採用業務を支援するAIエージェント「ソーサー(Sourcer)」と「プローブ(Probe)」だ。ソーサーは人材を発掘し推薦する役割を担い、プローブは採用課題の評価プロセスを自動化する。
セールスフォースはこのように顧客企業のAIエージェント活用が拡大するなか、エージェントが実際に遂行した業務単位を意味する「エージェント・ワーク・ユニット(AWU)」が16億件を記録し、前四半期比111%増加したと明らかにした。また顧客企業はAIエージェント導入を通じてバックオフィスのデータ入力業務を最大80%削減していると説明した。
パク代表は「多くの企業が多様なAIツールを導入しているが、データとシステム、業務フローが分断された環境では、いかに優れたAI技術であっても実質的なビジネス成果の創出に結びつけるのは難しい」とし、「企業向けAIエージェントが真の競争力となるには、顧客データと業務コンテクスト、実行環境が一つの信頼できるプラットフォーム上で有機的に連結されなければならない」と述べた。