グラフィック=ChatGPTダリ

カカオ労働組合が10日、創業以来初のストライキに突入した。だがストの時間は4時間にとどまり、カカオトーク・決済など主要サービスも正常に維持された。労組は全面ストの可能性を知らせる警告だと説明したが、IT業界では「4時間止めたところでカカオがどれほど揺らぐのか」という反応が出ている。生産ラインを止められる製造業の労組と異なり、自動化されたインフラと必須運用人員で中核サービスが回るIT企業の特性上、今回のストが利用者不便や売上損失につながる圧迫効果は限定的だったという評価だ。

しかしストの実効性が弱いからといって経営陣の責任が軽くなるわけではない。カカオは成長鈍化と人工知能(AI)競争力への懸念、系列会社のリストラ、報酬体系への不信が一度に積み上がる間、構成員と市場を説得できる答えを示せなかった。労組は弱いカードで存在感を示そうとしており、経営陣は明確な成長戦略も報酬原則も提示できていない。カカオの初のストは、労組の力を誇示した事件というより、成長戦略と報酬原則をめぐる社内の不信が収束しがたい水準に達したことを示した場面だった。

◇ 生産ラインのないプラットフォーム企業の限界…力の抜けた4時間スト

カカオ労組はこの日午前10時から午後3時まで、キョンギソンナム市パンギョのカカオ本社一帯で組合員決意大会を開き、部分ストに入った。正午から午後1時までは休憩時間で、実際のスト時間は計4時間だ。昨年カカオモビリティー労組がストを行ったことはあるが、カカオ本社レベルのストは今回が初めてである。今回のストには賃金交渉が決裂したカカオペイ、カカオエンタープライズ、ディーケイテックイン、XLGAMESの労組も参加した。

ただしストの進行中、カカオトークなど主要サービスの停止や顕著な利用者不便は発生しなかった。カカオトーク、ポータル「ダウム」、決済など中核サービスが正常に維持され、今回のストが会社運営に与えた直接的影響は限定的だった。

こうした限界は製造業と比べると一層際立つ。サムスン電子の労組ストと比較すれば差は明白だ。サムスン電子には半導体生産ラインという強力な交渉カードがあった。生産工程が止まれば売上と利益に直接的な打撃が生じ、納期とサプライチェーンへの負担も大きくなる。会社がストをコストとして肌で感じざるを得ない構造だ。

一方でカカオは状況が異なる。メッセンジャー、ポータル、決済、人工知能(AI)開発組織などを運営しているが、主要サービスは自動化インフラと必須運用人員で維持される。4時間の部分ストで一部の社内業務や開発スケジュールが遅延することはあっても、利用者が体感するサービス障害や会社の売上打撃に直結する可能性は大きくない。プラットフォームサービスの連続性、組織の分散構造、運用人員の代替可能性が、労組の圧迫効果を限定しているというわけだ。

このため今回の部分ストは、強い闘争というより象徴的な示威に近いという見方が出ている。労組は全面ストの可能性を開いておくというメッセージを出したが、実際に会社が感じる負担は大きくない。むしろ長期ストに発展すれば利用者不便が拡大し、「成果給を要求して国民的メッセンジャーを人質に取る」という逆風を受ける恐れがある。

労組の要求を見る目も手放しではない。カカオはこの数年、成長鈍化、系列会社のリストラ、投資縮小を経験している。過去のようにプラットフォームの成長だけで高額報酬を正当化するのが難しい局面だ。こうした状況で営業利益の13〜14%を成果給の原資として確保せよとの要求が、市場や株主の目線に合致するのかという指摘が出ている。

◇ 不信を増幅させたカカオ経営陣…報酬基準も成長解法も曖昧

だからといって会社が責任から自由であるわけではない。カカオの社員が成果給問題に敏感に反応する背景には、単に金をもっとくれという要求だけがあるのではない。会社がどのような基準で成果給を算定し、どのような成果を上げた組織と個人に報いるのか十分に説明できなかったという不信が蓄積してきたということだ。

社員の立場では、会社の業績が改善したのになぜ成果給が減ったのか、どの指標が反映されたのか、長期インセンティブと当該年度の成果給がどのように区分されるのか把握しづらいという不満がある。カカオが一部社員に支給してきたRSUも対立の火種となった。RSUは一定期間の勤務など条件を満たして初めて受け取れる譲渡制限付き株式である。労組は、長期インセンティブであるRSUを当該年度の成果給のように算出すべきではないと主張する。

ポータル「ダウム」運営会社AXZの補償金も社内の不満を高めた。カカオから分社後にアップステージへ売却されたAXZの社員が、カカオから1人当たり平均1億ウォン程度の補償金を受け取ったと伝わり、既存社員の間では報酬基準の公平性に対する疑問が大きくなった。特定の組織には大規模な補償が行われた一方、一般社員には成果給の算定基準すら十分に公開されていないという認識が広がったのだ。

プラットフォーム業界の関係者は「報酬体系は会社の成長戦略と別々に進むことはできない。どのような成果を出せば会社が再び成長し、その成果が社員の報酬にどうつながるのか示さなければならない」と述べ、「しかしカカオ経営陣は系列会社のリストラ、ポータル事業の再編、AI投資の拡大を同時に進めながらも、これらを貫く説得力ある基準を提示できなかった」と語った。別のプラットフォーム業界関係者は「成果給の要求を『経営上の負担』と説明するだけでは、社内の不信を鎮めるのは難しい」と述べた。

◇ AIは出遅れ、株価は下落…労使ともに危機感が不足

カカオが直面するより大きな問題は、AI競争で存在感が弱まった点だ。会社は今年をAIとカカオトーク中心成長の転換点にすると明らかにしてきた。だが市場が体感できる成果はまだ明確でない。カカオトークの改編は、ユーザー体験と収益性を同時に改善するカードとして提示されたが、NAVERと比べるとAI検索、コマース、グローバルインフラ協力の面で確かな差別化を示せていない。

直近1カ月余りでNAVERの株価はAI期待感とエヌビディア協業の話題で上昇した一方、カカオは労使対立とAI競争力への懸念が重なり下落した。NAVERがAI恩恵銘柄として再評価される間、カカオは「何で再び成長するのか」という問いに答えられていない。

報酬格差は労組の不満を高める要因だ。2025年事業報告書基準でNAVERの社員1人当たり平均給与は1億4600万ウォン、カカオは1億0900万ウォンである。しかし投資家の立場では、カカオがNAVER並みの成長性やAI競争力を示せていない状況で報酬拡大だけを求めるのは説得力に欠けるという声が少なくない。

リュ・ジョンギ西江大学知識融合メディア大学兼任教授は「経営陣リスク・戦略の空白・報酬体系への不信が重なった内部リスクが臨界点を超えた結果であり、カカオがもはや過去の成長公式だけでは社員と市場を説得しにくくなったというシグナルだ」としつつ、「AI競争は加速し、株価は揺れ、社員は報酬基準を信じられない。納得可能な報酬基準と市場が認める成長戦略が必要な状況だ」と述べた。

一方、この日カカオ労組は「29日に『ログアウトデー』を準備して実行する」として追加ストを予告した。

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