サムスン電子の成果給をめぐる労使対立がなかなか収束の兆しを見せないなか、サムスン内外では旧来の成果給体系の骨格に欠陥があるとの指摘が出ている。サムスン電子と競合する米欧の半導体企業の中には、この種の制度を運用する事例を見つけるのが難しいためだ。台湾のTSMCやメディアテックが辛うじて類似の制度を運用しているものの、営業利益の1%程度を成果給として割り当てている。
7日、業界によると、サムスン電子と類似する米欧の総合半導体企業(IDM・設計と製造を一体で営む半導体大手)の場合、大半は超過利益共有という概念よりも、毎年会社の経営目標(営業利益、技術開発、戦略課題など)を定め、各指標に合った達成率を算出したうえで貢献度に応じてボーナスを計算し支給している。営業利益の一定部分を成果給として割り当てる制度は極めて稀だということだ。
◇ 目標達成を指標化する米欧…韓国の成果給体系は大雑把
サムスン電子の代表的な成果給制度は、超過利益成果給(OPI)と目標達成奨励金(TAI)で構成される。OPIは、事業部が年初の目標を超過達成した場合に支給される超過利益分配型の成果給である。OPIは経済的付加価値(EVA)または超過利益を基準に原資を算定し、個人別の支給額は年俸の最大50%に制限している。TAIは半期ごとの事業部評価と目標達成度に応じて支給される成果給である。
問題は、このような成果給制度の基盤が1990年代に始まり2000年代初頭まで形成された韓国大企業式の成果主義を土台に作られた点である。サムスン電子は2001年にPSという名称で超過利益分配型の成果給を導入し、2014年にこれをOPIへと変更した。名称は変わったが、超過成果が発生すれば事後的にこれを分配するという大枠は維持された。好況期には強力な報酬装置となったが、算定方式が不透明だとの指摘と年俸50%の上限線に関する論争が繰り返されてきた。
米欧の半導体企業の成果給体系は、当初から個別の役職員の成果と検証、報酬体系を細分化した指標で算出するシステムを基盤としている。超過利益の一定比率を成果給原資として自動配分するよりも、経営目標の達成率と会社の財務状況、個人の成果を測定してボーナスの倍率を定めるという基調を長期にわたり維持してきた。
インテルが代表的な事例であり、業界のスタンダード格と評価される。インテルの年間現金成果給は、会社の売上高、売上総利益率、営業費用、「ITJ(Intel Top Jobs)」と呼ばれる戦略課題、個人成果をそれぞれ20%ずつ反映する構造で構成される。インテル関係者は「半導体企業は他業種と異なり、四半期・年間単位で莫大な投資・維持費用がかかるため、成果と報酬もより細かく明確に評価するのが一般的だ」と述べ、「会社が目標としたプロセス(製造工程)、製品販売量だけでなく、サステナビリティ達成の有無が重要に作用する」と語った。
サムスン電子とSKハイニックスの競合である米マイクロンにも、インテルと同様に営業利益の一定部分を成果給原資として用意するという条項は存在しない。マイクロンの成果給体系は、短期インセンティブ(STI)の場合、収益性目標50%、戦略目標50%で構成されるが、収益を超過達成したとしても、戦略目標に含まれる技術、コスト、サステナビリティなどを勘案して支給する。欧州のSTマイクロエレクトロニクス、インフィニオン、NXPなども細部は異なるが、超過利益を自動的に分配するという項目は見つけにくい。
◇ 過度な労組要求、事前に防ぐ方法はあるか
問題は、サムスン電子がメモリ半導体事業だけを営む会社ではないという点である。サムスン電子はファウンドリー(半導体受託生産)やシステムLSIといった設計事業部も保有しており、全社的に見るとスマートフォンを含む無線事業部、テレビ、家電など多様な事業群を包含する。世界的に見ても、このように多様な先端テック事業をすべて持つ企業は稀だ。
このため、海外半導体企業の方式をサムスン電子にそのまま適用することも難しい。サムスン電子に詳しい関係者は「過去にスマートフォン事業が全社営業利益の70〜80%を占めていた時でも、成果給の衡平性に関する論争は役職員の間で常にあった」とし、「一つの事業部の成長が過去に別の事業部が築いた礎を通じて形成される投資の好循環という肯定的側面があるが、逆に従業員は目先で自身に与えられる報酬しか見ないためだ」と説明した。
財界のある関係者は「基本的にサムスン電子の成果給制度は米国や欧州に比べて労働者フレンドリーな構造だ」とし、「ただ、異例の市場環境で突如として大きな利益を得ることになり、競合他社(SKハイニックス)の異例の『大盤振る舞い』が火をつけ、各事業部の特性とチーム、個人の成果に応じて算定されるべき成果給の算定が不満を生んでいる」と説明した。