過去数年間、インテルは人工知能(AI)半導体時代の脱落者とみなされてきた。設計分野ではエヌビディアが生成AIブームの中心に立ち、製造分野ではTSMCが先端ファウンドリー(半導体受託生産)の主導権を握ったためである。この間、インテルには中央処理装置(CPU)を中心に王座を守ってきた過去の威光だけが残った。
しかし昨年、リップ・ブー・タン最高経営責任者(CEO)がインテルの司令塔に就いて以降、構造調整と資産再編、特に最大の宿願事業だったファウンドリーで顧客確保のシグナルが相次いで捉えられ始めた。グラフィックス処理装置(GPU)にのみ依存してきたグーグルなどビッグテック企業が、汎用CPUに強みを持つインテルのチップを活用する方策を見出し、市場がインテルを見直す契機を提供した。
◇ 5年ぶりに株価が最高点、AI半導体の重心が変化
10日、ニューヨーク株式市場でインテルの株価は1.07%上昇し62.38ドルを記録した。これは2021年4月以降、5年ぶりに記録した最も高い水準である。昨年末比でインテル株は84%上昇し、フィラデルフィア半導体指数の上昇率(42%)を大きく上回った。
期待の出発点はAI市場の重心が少しずつ変わっているという点である。生成AI初期にはエヌビディア流の学習用GPUがすべてのように受け止められたが、最近では推論やサービス展開、エージェント型AIの拡大により、インテルの主力事業であるCPUのような汎用演算資源の重要性が再び高まっている。平たく言えば、高価なGPUを最大限効率的に配置し、要所要所にインテルの推論用チップを組み合わせて費用効率的なインフラ投資を行うということだ。
インテル関係者は「IT企業が過去数年間、AIを学習させる段階に没頭していたとすれば、いまは実際にAIを大衆に商用サービスとして提供する過程へ移行している」と述べ、「この過程で汎用性の高いCPU需要が再び息を吹き返している」と説明した。AI半導体市場のトレンドが、いまやインテルにも再び機会を与える方向に動いているということだ。
代表的な事例がインテルとグーグルの協力拡大である。グーグルはインテルのXeon(ゼオン)プロセッサーをAI推論と汎用コンピューティングに引き続き投入し、最新のXeon 6も導入することにした。両社はCPUの負担を一部軽減するカスタムのインフラ・プロセッシング・ユニット(IPU)の共同開発も拡大することにしたが、これはインテルが単なる部品供給業者ではなく、大口顧客とAIインフラの構造をともに設計するパートナーとして認識されていることを意味すると解釈される。
TSMCに後れを取っていたチップ製造の競争力でも、過去の底力を示せるとのシグナルが現れている。インテルは7日、イーロン・マスクのテラファブAIチップ・プロジェクトにスペースX、テスラとともに参加すると明らかにし、発表直後に株価は2%超上昇した。このプロジェクトはロボティクスとデータセンター向け演算能力の拡大を狙った構想で、インテルが再びメガプロジェクトのサプライチェーンの中に入ることができるとのシグナルと解釈される。
インテルがアイルランド工場を再取得したのも同じ文脈である。インテルは今月初め、アポログローバルマネジメントに売却していたアイルランド生産施設の持分49%を142億ドルで買い戻すことにし、この日、株価は10%超上昇した。海外投資銀行は、インテルの財務が改善し、AIの普及に伴ってプロセッサー需要が回復するなか、中核資産を再び完全に傘下に収める自信が生まれた結果だと解釈している。かつて現金確保のために持分を譲渡した工場を買い戻した点で、市場はインテルの生存可能性を数字で確認した格好だ。
◇ 生存可能性は十分だが過去の栄光にはまだ届かず
もちろん内外の投資銀行とアナリストは、インテルが完全復活すると断定的には見ていない。少なくとも当面は、インテルがAI半導体へ再編された市場で過去と同じ地位を享受するのは難しそうだ。しかし最近のビッグテックの投資の流れを見ると、インテルが依然として主要プレーヤーとして残る可能性は高い。
米金融分析会社メリウスリサーチは最近、インテルの目標株価を58ドルから75ドルへ引き上げ、「良いニュースが続々と積み上がっている」と評価し、シーポートリサーチは「インテルが再び延命(renewed lease on life)を得ている」とみた。一方、UBSは『完全に復活したと見るのは難しい』としつつも目標株価は引き上げ、中長期的な生存シナリオを織り込む姿勢を示した。
最近のインテル株上昇の本質をみると、完全な回復というよりは『ナラティブの転換』に近いというのが大方の見方である。AI時代に完全に押し出された企業ではなく、依然として重要な一角を担う総合半導体企業(IDM)であるとの証明である。