ChatGPT開発社のオープンAIが昨年野心的に披露したショッピング機能「インスタントチェックアウト」を終了することにした。インスタントチェックアウトは、ユーザーがChatGPT内でウォルマートなど外部ショッピングモールの商品を検索し購入できる機能で、オープンAIが事業多角化の一環として推進したものだ。ショッピング機能を公開した9月には世界最大の流通企業であるウォルマート、エッツィ、ショッピファイなどが参加を宣言して注目を集めたが、発売から6カ月が経った現時点に至っても最新商品情報がChatGPTに反映されないなどエラーが頻発し、使用率が振るわなかった。
オープンAIは代わりに主要流通企業と手を組み、ChatGPT専用アプリケーション(アプリ)を開発して搭載する方向へ戦略を転換した。ユーザーがChatGPTで商品検索をしても最終決済は流通企業のウェブサイトへ移動して完了する方式だ。市場調査会社ガートナーは「オープンAIがショッピングプラットフォームの実装がどれほど難しいかを過小評価した事例だ」と診断した。
昨年、ショッピング、ソーシャルメディア(SNS)、採用、ヘルスケアなど文魚足式の事業多角化を試みてきたオープンAIが、最近は成果が不振な新規事業から力を引き、本業である生成型AIモデルの高度化と拡散に注力することにした。とりわけAIベースのコーディング機能を強化し、いわゆる「金になる」企業向け市場の攻略にスピードを上げる構想だ。競合のAnthropicが企業向けAI市場での優位を土台にオープンAIを急速に追撃すると、これをけん制するため「選択と集中」に動いたとみられる。
オープンAI経営陣はコーディングと企業顧客を中心に事業を全面再整備する方案を構想中である。主要海外メディアによると、フィジ・シモOpenAIアプリケーション部門最高経営責任者(CEO)は最近の社員会議で「今は企業向けAI市場で主導権が決まる重要な時点だが、サイドクエスト(副業)に気を取られて重要な機会を逃してはならない」とし、「全般的な生産性、特に企業顧客の生産性を確実に高めることに注力すべきだ」と語った。
多様な新規事業を推進する過程で資源が分散し、核心戦略がぼやけたとの判断からだ。副業の成果が芳しくない点も、オープンAIが事業再編を推進する理由に挙げられる。実際、オープンAIの映像AIベースSNSプラットフォーム「ソラ」も、発売初期にはダウンロードが爆発的に増加するなど注目を集めたが、3カ月が過ぎた時点からは話題性が落ち、人気がしぼんだ。AIで生成した映像を作成・共有できるSNSアプリであるソラは「TikTok対抗馬」と呼ばれ、昨年10月の発売直後5日で100万ダウンロードを突破した。
しかし12月には前月比で新規ダウンロード件数が32%減少し、今年1月にはさらに46%減った。アプリ分析会社Appfiguresによると、ソラアプリ内決済額も着実に減少中だ。米国のApp Storeでソラは無料アプリ順位の上位100位圏外へ押し出された。
業界では、同時期に発売された競合のグーグルの画像生成AI「ナノバナナ」が当時旋風を起こし、ソラの成長が鈍化したほか、フェイスブックの親会社Meta(メタ)も類似のAI映像アプリ「ヴァイブス」を出したなど、競争が激化したと評価した。ハリウッド主要制作会社が著作権を掲げて自社の知的財産権(IP)使用を禁じるなど、映像生成に使えるIPの範囲が限定的であることも、アプリの成長を阻んだ要因として指摘される。
SNSの核心は友人やフォロワーなどとコンテンツを共有することだが、大多数のユーザーが自分の顔をAI映像生成に活用すること自体に依然として拒否感を示している事実も短所として挙げられる。
このほか、オープンAIが昨年公開したウェブブラウザー「アトラス」も目立った成果を挙げていない。アップルでiPhoneをデザインしたジョニー・アイブと手を組んで開発中のAIベースのハードウエア機器も、発売が遅れる可能性が高まった。
昨年末、グーグルがAIモデル「Gemini」を前面に出して消費者向けAI市場でオープンAIを脅かした直後、社内重大警報(コードレッド)を宣言したオープンAIは、今年ここから一歩進めて企業向けAI事業にあらゆる力量を投入することにした。その一環として、今年関連人材を攻撃的に採用し、現在約4500人の社員数を年末までに約8000人へと約2倍に拡大する方針だとフィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。新規採用する人材の中には、企業がオープンAIのAIツールをより効果的に使えるよう支援する専門人材である「テクニカルアンバサダー」も含まれる。
特に企業向けAI市場での勝敗を左右するコーディング機能を強化するため、アストラル、プロンプトフー、ネプチューンなど、コード生成と企業ワークフローに最適化された技術を保有するスタートアップを相次いで買収した。
市場では、オープンAIがAnthropicの追撃を振り切るため事業再編に着手したとみている。Anthropicはコーディングツール「クロードコード」を前面に出し、企業向けAI市場で昨年末時点で約40%の占有率を記録し、先頭の座を固めている。年初に披露したAIエージェント「クロードコワーク」は、企業向けソフトウエアを代替しうるという「サスポカリプス(SaaSpocalypse・サービス型ソフトウエア+終末)」の恐怖を引き起こし、世界の株式市場を揺るがした。最近、米国国防総省(戦争省)との葛藤によりAnthropicが米軍にこれ以上AIモデルを供給できなくなったにもかかわらず、主要企業はクロードを継続使用する意思を示した。
AI業界のある関係者は「クロードコードが現在、主要テック企業のエンジニアが使用するツールとして定着しただけに、オープンAIが先頭の座を奪われかねないという圧迫を感じているようだ」と述べた。ジェンスン・フアンNVIDIA CEOは今年1月、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の対談で「クロードは優れている」とし、「NVIDIAのエンジニアがクロードを活用して業務をしている」と言及した。