3日(現地時間)、世界最大のモバイル展示会「MWC 2026」が開かれたスペイン・バルセロナのフィラ・グラン・ビア3館と5館の間の屋外スペース。ここには長い行列ができていた。来場者が体験のために待った製品はまさにスマートグラスだ。一方は中国アリババがMWC期間に公式発売を告知したAIスマートグラス「Qwen AIグラス」の展示館、もう一方はMeta(メタ)のスマートグラス展示館である。
Qwen AIグラスにはアリババの超巨大人工知能(AI)モデル「Qwen(キューウェン)3.5」が軽量化されて搭載された。MWC 2026を訪れたある来場者は「中国と米国のAIスマートグラス代表企業が道を挟んで展示館を構えた様子は、当該市場をめぐって激しい競争を繰り広げる場面を想起させる」と語った。
◇ スマートグラスをかけて質問、リアルタイム通訳も可能
「やあ、クイニー。この建物は何?」
アリババQwen(キューウェン)のスマートグラス「S1」をかけ、建物の写真を見つめながらこのように問いかけた。するとクイニーは「この建物はバルセロナのサグラダ・ファミリア大聖堂です」と述べ、詳細な説明を続けた。横に置かれた鏡を手に取り見つめながら「やあ、クイニー。これは何?」と尋ねた。「展示会やイベントで一人が鏡を見つめている様子です」という答えが返ってきた。
今度は通訳機能を起動した。Qwenの関係者が中国語で途切れなくスマートグラスを紹介した。しかし負担はなかった。リアルタイムで目の前に緑色の文字でハングル字幕が表示され、同時に耳では同時通訳が行われた。「今から中国語で説明します。重さは40gです。バッテリーがテンプル(つる)の後方に配置され、眼鏡をかけたときの装着感が良好です。」
通訳の音は相手には聞こえなかった。テレプロンプター機能をオンにすると、用意された原稿が目の前に広がる。重要な講演をする際、眼鏡さえあれば自分用のプロンプターとして心強いと感じた。
目の前に広がる風景もいくらでも眼鏡で撮影が可能だった。ナビゲーション機能も起動してみた。眼鏡をかけて動くと、動きに応じて画面上の地図で移動した。スマートフォンでナビゲーションを起動したのと同じだった。10分余りAIスマートグラスをかけていたが不便はなかった。一般的な眼鏡と同様だった。さらに、スマートフォンから手を離せなかった日常生活で両手が自由になるのは便利だった。ただ、ディスプレーの色が緑色で固定されている点は物足りなかった。
中国TCLの展示館では「RayNeo X3 Pro」を見ることができた。X3 Proもまた眼鏡をかけてリアルタイムで通訳を見たり、写真を撮ったりできた。ただしRayNeo X3 Proは眼鏡が顔にぴたりと吸い付くように装着される感覚はなかった。
◇ スマートグラス出荷が急伸…実験段階を過ぎた
MWC 2026でAI機能が適用されたスマートグラスが多く見られた理由は、スマートフォンに代わる新たな形態の機器競争が本格化する中で、AIを最も自然に使える形が眼鏡だという見方が多いためである。Meta(メタ)の関係者は「スマートフォンは世界をポケットに入れてくれたが、人々の視線を現実から引き離した。次のコンピューティングプラットフォームはAIウェアラブルになる」と述べた。
AIスマートグラスをめぐって激しい競争が繰り広げられる見通しだ。アリババがMWCに合わせてAIスマートグラスを披露したことは、Qwenの音声アシスタント機能をアプリ基盤からウェアラブルへ転換することを意味する。アリババの関係者は「QwenはAIグラス以外にも今年下半期にAI搭載スマートリングとAIイヤホンを発売する計画だ」と明らかにした。
カウンターポイント・リサーチによると、スマートグラスの地域別シェアは北米37%、西欧30%だ。中国は6%にとどまる。アジアでは眼鏡に対する抵抗感が欧州より相対的に大きいことが影響している。
カウンターポイント・リサーチによれば、昨年2四半期の世界スマートグラス出荷量は前年同期比で139%急増した。AIスマートグラスが成長を牽引した。カウンターポイント・リサーチは「メーカー各社がスマートグラスを実験製品ではなく、もはや販売できる製品群と見なし始めた」と述べた。