サムスン電子の労使が成果給上限の撤廃をめぐり2026年の賃金団体協約交渉で決裂したなか、10日から19日まで続いた集中交渉で、補償体系などをめぐって労使間の舌戦が繰り広げられたことが確認された。会社は大規模設備投資(CAPEX)に伴うフリーキャッシュフロー(FCF)の圧迫を理由に成果給上限撤廃に難色を示し、労組は競合他社に比べ見劣りする補償水準を指摘して対抗した。
5日、ChosunBizが入手したサムスン電子の賃金交渉議事録によれば、労使は▲成果給原資の確保▲成果給算定基準(EVA)への不信▲株式を基盤とする特別補償▲事業部別インセンティブの差等構造などを巡って激しい応酬を交わした。
◇「170兆稼いでも渡す金はない」vs「競合の3分の1」
労組側の成果給上限撤廃要求に対し、会社側が掲げた防御論理は「原資の限界」だった。議事録によれば、会社側代表委員は「営業利益が170兆ウォン水準になっても、設備投資やR&D、税金などを除けばフリーキャッシュフロー(FCF)の観点で改善されるものはほとんどない」と発言した。半導体の超格差維持に向けた大規模投資を優先すべきであり、成果給上限を外すのは財務的に無理だという主張である。
会社側は特に対外的な競争環境に言及し、危機感を示した。議事録の会社側関係者は「技術競争力指標10個のうち5個は中国がすでに韓国より先行している」と述べ、投資を減らせない当為性を強調した。
労組は人材流出の危機を挙げ、補償体系の根本的な変更を促した。労組側委員は「メモリーの社員は競合(SKハイニックス)の社員が受ける金額の3分の2〜3分の1しか受け取れず、リテンション(人材維持)が効かない」と述べた。
また労組は極端な例として、競合が4億ウォンを受け取るときサムスン電子のファウンドリー事業部は4000万ウォンの水準だとし、社内構成員が感じる相対的剥奪感が深刻だと説明した。
従来の成果給算定指標であるEVA(経済的付加価値)への不信も露骨に表れた。労組側は「営業利益は数値で確認できるが、EVAは社内の計算方式であり社員が信用できない」として、成果給の基準を透明な営業利益中心へ転換するよう求めた。
◇ファウンドリー赤字の責任を巡る応酬…「事業を畳めというのか」vs「投資失敗の転嫁はやめろ」
事業部別の成果給格差の議論の中では、ファウンドリーとシステムLSI事業部の存続可否および赤字の責任をめぐり険悪な舌戦が飛び交った。労組側が赤字事業部という理由で補償から疎外される人員の相対的剥奪感を指摘し、設備投資のペース調整に言及すると、会社側は「ファウンドリーへの投資を減らせとは、ではファウンドリー事業をやめろということか」と声を荒らげた。
続けて会社側は「ファウンドリーは昨年に数兆ウォンの赤字を出し、その前もそうだった。サムスンという囲いがなければとっくに廃業していた」と述べ、冷厳な現実を強調した。これに対し労組は「赤字事業部というフレームをはめず、過度な投資費用により赤字が発生する構造を直視せよ」と反論した。
特に「ファウンドリーの仕事がどうせ補償が少ないなら誰が一生懸命やるのか」という労組の指摘に、会社側は「逆にメモリーもファウンドリーと同じだけ与えたら誰が一生懸命働くのか。ただ出勤だけすればいいのではないか」と切り返し、補償の差等の当為性を堅持した。
◇「過去最大級の補償案」でも結局は決裂…労組、スト手続きに着手
交渉過程で会社側は成果給の競争力を補完するための大胆なシミュレーション案を提示した。会社側は営業利益100兆ウォン達成を仮定した場合、OPIと特別補償を合わせ、A等級の社員であれば年俸の最大210%水準まで補償が可能だと説明した。これとは別に、赤字事業部であるファウンドリーとシステムLSIの組織に対しては、コア人材の維持に向けた個別インセンティブ(リテンション補償)のカードも提示した。
しかし支給方式が障害となった。特別補償を株式で支給しつつ一定期間の売却制限を設け、この期間中に自発的に退職した場合は株式を返還させるという条件が付いたためだ。労組はこれを社員を縛り付ける「制約」と規定し、受け入れを拒否した。
結局サムスン電子の労使は、会社側が前向きな補償規模を提示したにもかかわらず、株式支給方式の条件付き条項と事業部間の補償不均衡の問題を解決できないまま交渉決裂を宣言した。労組側は交渉決裂に伴い直ちに争議行為の準備に入った。
労組は共同交渉団・共同闘争本部体制へ移行し、近く組合員を対象にストライキの賛否投票を実施する予定だ。投票で過半数の賛成を得れば、サムスン電子の半導体産業の歴史で前例のないストが現実化する可能性がある。業界関係者は「労組リスクが本格化すれば、サムスン電子の技術競争力と生産性にも打撃は避けられない」と述べた。