中国当局がMeta(メタ)の人工知能(AI)スタートアップ「マヌス」買収をめぐり、技術輸出規制違反の有無を検討していると伝わった。実際の調査に発展するかは未定だが、判断次第では取引全体に影響が及ぶ可能性も取り沙汰されている。
6日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズ(FT)などの海外報道によると、中国商務部の関係者は、マヌスの人材と技術がシンガポールへ移転した過程と、その後にMeta(メタ)に買収された手続きが中国法上の輸出許可の対象に当たるかを精査している。検討はまだ初期段階で、公式調査へ移行しない可能性もあるとされる。
ただし、もし輸出許可の対象に当たると判断されれば、中国当局が取引に介入する余地が生じ、極端な場合には買収そのものにブレーキがかかるとの見方も出ている。中国は過去に米国政府がTikTokの強制売却を進めた際にも、同様の形で介入した前例がある。
一部では、マヌスが中国国内の中核的な戦略技術に分類される可能性は低く、当局の介入の必要性は限定的になりうるとの分析もある。だが別の関係者は、今回の事案が中国スタートアップの「脱中国」の動きを刺激しかねない点で、当局が注視していると伝えた。
マヌスは2024年3月に中国で公開されたAIエージェントモデルで、人の介入なく自ら計画を立て業務を遂行する仕組みで注目を集めた。低コスト・高性能AIとして注目されたDeepSeek(ディープシーク)に続く中国の次世代イノベーション企業と評価されたこともある。
しかし、米中間のAI技術覇権競争が激化するなかで資金調達が難航し、米国の対中半導体輸出規制でコンピューティング資源の確保にも制約が生じたため、2024年7月に中国での開発を中止し、本社をシンガポールへ移転した。この過程で、制裁回避を目的とした「国籍洗浄」という見方も浮上した。
マヌスはその後Meta(メタ)に買収され、中国発スタートアップが米ビッグテックに取り込まれる異例の事例となった。Meta(メタ)は先月29日にマヌス買収を正式発表したが、具体的な取引額は開示しなかった。もっとも、海外報道は今回の買収規模を20億ドル程度と推定した。