人工知能(AI)半導体市場を掌握したAMDとエヌビディアの首脳が、2026年1月6日(現地時間)に米国ラスベガスで開かれる世界最大のIT・家電見本市「CES 2026」の舞台に並んで上がる。AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)はCES 2026の基調講演を務め、同じ日にエヌビディアのジェンスン・フアンCEOはCES 2026で特別講演を行う。
AMDは次世代AI PC向け中央処理装置(CPU)とデータセンターなどを駆動するAIアクセラレーターの市場戦略を公開するとみられ、エヌビディアはフィジカルAIやエージェンティックAIなど、AI市場で領土を拡張するためのビジョンを明らかにするとの観測が優勢だ。
31日、CESを主催する全米家電協会(CTA)によると、AMDのリサ・スーCEOは翌月5日(現地時間)に米国ラスベガスのベネチアンホテルで「CES 2026」の基調講演を務める。スーCEOはクラウドからデータセンター、エッジデバイスまで、将来のAIソリューションに関するAMDのビジョンを公開する予定である。同じ日にエヌビディアのジェンスン・フアンCEOも米国ラスベガスのフォンテーヌブルーホテルでCES特別講演を行う。フアンCEOもAIがもたらす未来と、これを攻略するためのエヌビディアの市場戦略を公開するとされる。
AMDとエヌビディアはAI半導体市場の先頭企業とされる代表的な米国ビッグテック企業である。AI半導体市場のシェア約80%をエヌビディアが握り、AMDがこれを追っている。エヌビディアが高性能AIチップと、それを駆動するソフトウエアプラットフォームのCUDAを基盤にAI半導体市場を支配しているのに対し、AMDはエヌビディアと比べて価格が割安で電力当たり性能効率に優れることを武器にAIチップ市場を攻略している。今年フアンCEOがCES 2025の基調講演を行ったのに続き、来年はリサ・スーCEOが舞台を飾ることになった。
AMDは次世代AIチップとともに、インテルと競合しているAI PC向けCPUの新製品を公開し、市場戦略を示す見通しだ。AMDは来年披露予定の次世代「EPYC」の生産に、TSMCの2ナノメートル(nm、1nmは10億分の1m)級「N2」プロセスが適用されると発表したことがある。この製品は高性能コンピューティング(HPC)向け半導体として初めてN2プロセスを用いる。AMDはこれを前面に、データセンターとPC、クラウドなどAIデバイスを駆動するための自社ソリューションを多数公開する計画だとみられる。
エヌビディアはAI半導体だけでなく、次の激戦区として浮上しているフィジカルAIなどへ勢力を広げることに重心を置くと予想される。1月、8年ぶりにCESの基調講演の舞台に立ったフアンCEOは、「フィジカルAI」が次世代AI市場の激戦区として浮上すると言及した。当時フアンは、仮想環境でロボットや自動車などを開発できるデジタルツインや、個人向けAIスパコンなど新市場を開拓するための準備過程を多数公開した。
来年もフアンCEOは次世代GPUとAIチップに関するエヌビディアの技術ロードマップだけでなく、将来のAI市場で台頭する技術に対するソリューションを公開する計画だとされる。来年の発売を控えるAIアクセラレーター「ルービンプラットフォーム」に加え、フィジカルAIやヒューマノイド、デジタルツイン、エージェンティックAIなどを実装するためのハードウエア、ソフトウエア技術を多数公開すると見込まれる。