「世界を理解するオムニモデル人工知能(AI)の時代を切り開く。」
ソン・ナクホNAVERクラウドAI(人工知能)技術総括は30日、ソウル三成洞のCOEXオーディトリアムで開かれた「独自AIファウンデーションモデルプロジェクト第1次発表会」でプロジェクトの青写真を公開し、こう述べた。オムニモデルAIはテキスト・画像・音声といった複数のデータ様式を単一の統合されたAIモデルが処理することを意味する。すなわち、機能別に個別構築したAIモデルをつなぎ合わせるよりも、1つのモデルが複数のモダリティ(AIで情報が入出力される形式)を同時に理解・推論・応答するよう設計されたことを指す。
ソン総括は「NAVERクラウドは今回のプロジェクトが単にモデルのサイズを拡大する競争ではなく、インフラ・人材・データ・サービスを一つの軸で束ね、成長の構造と均衡を整える『ソブリン(Sovereign)AI』生態系の構築に焦点を当てた」と強調した。
NAVERクラウドはまず「HyperCLOVA X SEED」の推論競争力を前面に掲げた。最新モデル「HyperCLOVA X SEED 32B Think」が、通信会社のコールセンター問い合わせシナリオに基づく複合業務遂行能力を評価する「τ2-Bench Telecom」で87.4%を記録したという。ソン総括は「同一規模の小型モデル群で1位となり、主要な大型モデルを含む全体順位でも最上位圏の成績を収めた」とし、「モデルの競争力はパラメータ数ではなく高品質な推論能力だ」と述べた。
この日NAVERクラウドは、マルチモーダル領域で国内初の「Any-to-Any」オムニモデル「HyperCLOVA X SEED 8B Omni」を公開した。ソン総括は「従来のように別個のOCR(光学文字認識)モデルを付加する方式ではなく、『全体論的学習(Holistic Learning)』を通じてテキスト・画像・オーディオなど多様なモダリティを統合的に理解し、リアルタイムのインタラクションが可能だ」と明らかにした。グラフィック認識過程での意味損失を抑えると同時に、産業現場への適用時に構築コストを引き下げられる費用効率性と実用性を確保したという説明である。
NAVERクラウドは、韓国語に最適化した推論性能に音声認識まで組み合わせ、ユーザー体験を引き上げる構想も示した。こうした競争力の基盤としてNAVERクラウドは「フルスタックAI価値サプライチェーン(Full Stack AI Value Chain)」を挙げた。ソン総括は「自社AIデータセンターとGPU(グラフィックス処理装置)インフラ、クラウドプラットフォームを土台に、データの収集・生成からモデル開発、サービス実装まで全工程を垂直統合し、速度と効率を高めた」と述べた。
ソン総括は人材育成の側面では、KAIST・POSTECH・ソウル大学・高麗大学・漢陽大学など5つの主要大学の研究陣とレジデンシープログラムを運営し、マルチモーダルAIの中核技術研究を深化させていると明らかにした。ソン総括は「Twelve Labsなど専門企業との協力でデータ処理能力を強化し、国内スタートアップ生態系の活性化に向けた協業体制も並行する」と述べた。
この日NAVERクラウドは、汎用モデルを越え、産業別の「バーティカルAI(Vertical AI)」拡張にもスピードを上げると明らかにした。ソン総括は「金融・国防・製造・流通・防衛産業・重工業・エネルギー・農業などの中核産業に最適化した軽量モデルを普及させてAX(AI転換)を促進し、国家競争力を引き上げる戦略だ」と述べた。
NAVERクラウドのソブリンAI戦略は海外にも及ぶ。ソン総括は「NAVERクラウドが韓国で蓄積した構築経験を基に、日本・タイ・サウジアラビアなどで各国の文化と言語特性を反映した現地向けのAI生態系を作っている」と述べた。NAVERクラウドは日本では独居高齢者向けの「NAVERケアコール」サービスを通じて孤独死の予防など社会課題の解決に寄与し、タイとサウジアラビアでは現地語の大規模言語モデル(LLM)開発とデジタルツインに基づくスマートシティ協力も推進中である。
ソン総括は「AIから疎外された階層に先に歩み寄り、産業のAX(AI転換)を主導し、国家的なAI主権を守ることがわれわれの使命だ」とし、「独自ファウンデーションモデルを中心に、インフラ・人材・産業適用・グローバル展開を一つの生態系でつなぎ、人間中心の包摂的AIを日常の中に実装する」と述べた。