サムスン電子がエヌビディアと進めている来年の第6世代高帯域幅メモリー(HBM4)供給交渉が大詰めを迎えていると伝わった。SKハイニックスが来年のHBM4数量を「完売」したと明らかにしたのに続き、サムスン電子はSKハイニックスに次ぐ規模でHBM4を供給する見通しだ。今年の第5世代HBM(HBM3E)の数量はエヌビディアに少量を供給するにとどまり面目を失ったが、HBM4からは自尊心の回復に動いている様子だ。
15日、業界によれば、サムスン電子は来年エヌビディアがメモリー半導体業界に要求したHBM4の数量の30%以上を供給する見通しだ。サムスン電子がエヌビディアに提供したHBM4サンプルを、来年エヌビディアが市場に投入する次世代人工知能(AI)アクセラレーター「ルービンプラットフォーム」に搭載して品質認証の仕上げ作業を進めているとされる。
サムスン電子の事情に詳しい関係者は「HBM3E市場と異なり、HBM4ではエヌビディアのサプライチェーンにおけるサムスン電子の比率が30%以上を占めるとみられる」と述べ、「エヌビディアが要求した性能要件を満たしつつ、マイクロンより多い数量を供給することになりそうだ」と語った。
これまでサムスン電子はエヌビディアへのHBM供給で難航してきた。競合のSKハイニックスとマイクロンがHBM3Eの8層、12層製品を安定的に供給してきた一方で、サムスン電子は品質認証で数回失敗する屈辱を味わった。サムスン電子はHBM4市場で競争力を回復するため、自社ファウンドリー(半導体受託生産)の4ナノメートル(nm、1nm=10億分の1m)プロセスと、競合より一世代先行するDRAMを搭載する勝負に出た。サムスン電子はHBM4需要に対応するため、ピョンテクキャンパスでHBM4の生産能力拡大を進めている。
SKハイニックスは来年、エヌビディアが要求した全体数量の70%に迫るHBM4を供給し、最大サプライヤーの地位を固める見通しだ。SKハイニックスは来年予定するHBM4の生産能力で消化可能なHBM4数量の最大値を供給することで合意したことが確認された。SKハイニックスもHBM需要に対応するため生産能力を最大限まで引き上げているところだ。半導体業界の関係者は「SKハイニックスは来年エヌビディアが要請したHBM4数量のうち、同社が対応できる最大値を供給することで契約がまとまっている」と述べ、「生産能力拡大計画が具体化すれば、追加の協議が進む可能性がある」と語った。
マイクロンはSKハイニックス、サムスン電子に押され、10%未満の数量を供給する見通しだ。マイクロンはHBM4の一部再設計を断行するなど技術的な問題を抱え、交渉がやや遅れたとされる。マイクロンはエヌビディアが要求したHBM4製品基準を満たして最終サンプル(CS)を供給したが、競合に比べ性能で劣位だったとみられる。
マイクロンはSKハイニックス、サムスン電子と異なり、HBMの頭脳を担うロジックダイにファウンドリ工程ではなく自社のDRAM工程を用いる。SKハイニックスとサムスン電子は先端ファウンドリ工程を活用し、エヌビディアが要求した製品性能を満たして供給交渉に臨んだが、マイクロンは性能向上に苦戦し、数量協議で優位を確保できなかったと分析される。