産業全般で用いられる貴金属であるパラジウムを世界最高水準の効率で回収する技術が開発された。
韓国科学技術研究院(KIST)は、水資源循環研究団のチェ・ジェウ責任研究員、 水素・燃料電池研究団のキム・ジニョン責任研究員の研究チームが、チタン系マキシン材料ナノシートを基盤とした環境負荷の小さいパラジウム回収技術を開発したと14日に明らかにした。今回の研究は12日に国際学術誌「Advanced Functional Materials」に掲載された。
パラジウムは極めて少量でも優れた触媒として機能する物質で、スマートフォン、半導体生産工程など多様な産業と日常製品に使われている。しかし産地が一部の国に集中しており供給が不安定で、廃棄物から回収しようとしても、産業現場の弱酸性廃水環境で効率的に回収する技術が不足しているため、相当量が廃棄されているのが実情だ。
研究チームは、マキシンナノ素材の表面に不飽和酸素を有する酸化チタンナノクラスターを高密度で配置した薄いシート状の物質を開発した。この素材は30分でg当たり1,983mgのパラジウム吸着容量を示し、数百分以上の長時間で1,000mg以下の吸着性能を示す既存の吸着材より優れた性能を実証したと研究チームは説明した。
10回以上の繰り返し使用でも効率90%を維持し、回収した複合体をそのまま水素発生触媒として再利用できるため、貴金属循環システムとしても使えると研究チームは付け加えた。さらに常温で使用でき、強酸性薬品を必要としないため、炭素排出を80%以上削減できると研究チームは強調した。
チェ責任研究員は「廃触媒や電子廃棄物の中で捨てられていた貴金属を容易に回収できるようにすることで、韓国の資源循環体制の自立化と貴金属輸入依存度の低減に寄与し得る技術的な転換点になる」と述べ、「モジュール型回収システムによって商用化の可能性を高める計画だ」と語った。