中国のTV出荷台数が2025年7〜9月期に急減した。中国政府が支給してきたTV・家電製品の購入補助金が枯渇しつつあるためだ。これによりハイセンス、TCL、シャオミなど中国のTVメーカーは内需低迷に対応してアジアやオーストラリアなどに目を向けている。中国国内の液晶(LCD)TV需要の減少を補う新たな市場を探している格好だ。各社は北米・欧州進出も狙うが、同地域ではサムスン電子とLGエレクトロニクスが有機EL(OLED)TVを中心にプレミアム市場を主導しており、まだ目に見える成果は出せていない。
2日にChosunBizが入手した市場調査会社オムディアの2025年7〜9月期の市場分析レポートによると、中国TV市場の出荷台数は同期間に762万5400台となった。前年同期(868万700台)比で12.2%減少した数値だ。このうちプレミアム製品群であるOLED TVの出荷は全体の0.3%(2万900台)にとどまった。
中国市場は、同期間に世界のTV出荷台数が0.6%減少したのと比べて大幅な落ち込みを示した。2025年7〜9月期の世界TV出荷台数は5250万台を記録した。オムディアは中国TV市場の急速な縮小について「最近の成長が政府補助金によって人為的に増加させた需要にどれほど依存してきたかを示す」と述べた。
中国政府は「以旧換新」(古い製品を新品に置き換えることを支援)という内需喚起策を実施してきた。この政策を通じてTV・家電を購入すると販売価格の15〜20%を補助金として支給する。今年は既存の1500億元から3000億元(約62兆ウォン)へと特別国債基金を拡大し、下取り対象製品の範囲も広げた。
これにより中国の内需市場は一時的に活気づいた。中国商務部によると、今年1月から5月までの以旧換新プログラムに伴う売上は1兆1000億元(約228兆ウォン)と集計された。また1月から4月までの全国小売売上も前年より4%以上増加した。
しかし4〜6月ごろから広州、重慶、甘粛省など一部地域で補助金の支給が中断され始めた。2025年7〜9月期に入ると補助金枯渇に伴う支援中断地域がさらに増え、TV需要が落ち込み、中国内の主要ブランドのTV出荷台数も減少しているというのがオムディアの分析だ。
主要中国TV各社の2025年7〜9月期の出荷台数は前年同期比で、▲シャオミ35万3300台(164万8500台→129万5200台)▲TCL19万4000台(158万3700台→138万9700台)▲ハイセンス9万8700台(183万8800台→174万0100台)▲スカイワース5万3400台(147万2100台→141万8700台)減少したと集計された。
昨年から続く中国政府の補助金政策により、すでに多くの消費者がTVを買い替えた点も需要減少に影響を与えたと分析される。オムディアは「中国のTV需要は昨年、政府の補助金支給により増加した」としつつも、「すでに相当数で買い替えが進み、補助金も枯渇しており、中国内の出荷台数は当面、制約された状況が続く」との見通しを示した。
中国企業は内需低迷に対応してアジア・オーストラリアのTV市場を攻略している。オムディアは、同地域のTV出荷台数が中国企業の攻勢的なマーケティングにより2025年7〜9月期に前年同期比7.7%増の991万3400台となったと明らかにした。
ただし北米・欧州市場では中国企業が目立った成果を上げられていない。北米・欧州の1500ドル以上のプレミアムTV市場は、昨年の売上基準でOLED TVが65.9%のシェアを占めている。2025年7〜9月期の欧州市場におけるLCD TVの出荷台数は前年同期比5.6%減の902万3100台を記録した。一方、OLED TVは同期間に前年同期比14.2%増の61万8600台と集計された。
2025年7〜9月期の累計出荷ベースの世界TV市場シェアは、サムスン電子が17.9%で首位を占めた。ただしシェアは前年同期比0.2ポイント(P)低下した。TCL(14.3%)とハイセンス(12.4%)が内需低迷にもかかわらず2〜3位を記録し、追い上げに拍車をかけたためだ。LGエレクトロニクスは10.6%で4位にとどまった。
業界では、日本と中国の大型OLED技術の格差を約1年とみている。匿名を求めたあるディスプレー技術の専門家は「大型TV市場は結局パネル競争力に左右されるが、中国と韓国の格差は縮小しているものの、まだ約1年の差がある」と述べ、「堅調な内需を背景に研究開発・設備投資を執行してきた中国のTVメーカーは韓国企業の追撃に速度を上げてきた。しかし足元で成長が鈍化しており、韓国企業にとっては時間を稼いだ格好だ」と語った。