「ディープエル(DeepL)は単なる言語AI企業から、信頼される企業のAIパートナーへと進化している。私たちの目標は、単に意思疎通を助けることを越えて、組織が仕事をよりうまく進められるよう支援することだ。」
ヤレク・クティロフスキディープエル最高経営責任者(CEO)は2日、ソウル江南インターコンチネンタルパルナスで記者懇談会を開き、ディープエルエージェントを自ら紹介した。クティロフスキは「ディープエルは韓国市場に特化した製品、パートナーシップ、顧客支援戦略を強化していく」とし、「企業と知識労働者がより戦略的な業務に集中できるよう、技術ベースの協業環境を整えていく」と述べた。クティロフスキCEOが自社製品を直接説明するために韓国を訪れたのは2024年11月以来1年ぶりである。
ドイツに本社を置くAI翻訳スタートアップのディープエルは2017年、人工神経網構造に基づく翻訳サービスを発売した。現在、世界228カ国で20万社以上の企業と政府機関を顧客として確保している。昨年3億ドル規模の新規資金を調達し、企業価値は20億ドル(約2兆8,000億ウォン)と評価された。
クティロフスキCEOは韓国市場をディープエルのアジア主要拠点と評価した。クティロフスキは「アジアはディープエルが最も速く成長している地域だ」とし、「とりわけ韓国はデジタル技術に対する理解度と導入速度の双方で世界最高水準だ」と述べた。続けて「韓国企業が言語AIを導入し、世界各地とより深く協業できるよう支援することがディープエルの中核ミッションの一つだ」と語った。
実際にディープエルは今年、韓国の主要企業とのパートナーシップを積極的に拡大した。Saltluxイノベーションとは多言語翻訳AIエコシステムを構築しており、エティバスとは韓国企業のグローバルコミュニケーション能力強化に向けた共同プロジェクトを進めている。またKTは自社の有料サブスクリプションサービスにディープエルのソリューションをバンドル形式で提供している。
この日の懇談会では、先月に発売された「ディープエルエージェント」と「ディープエルカスタマイゼーションハブ」が紹介された。ディープエルエージェントは、反復業務の自動化と文脈に基づく作業の実行を支援する自律型AIである。ディープエルカスタマイゼーションハブは、ブランド用語、スタイル、翻訳メモリを統合管理するプラットフォームで、品質の一貫性を確保することに重点を置いている。
また「ディープエルエージェント」や「ディープエルボイス」などのサービスが直接デモンストレーションされた。ディープエルエージェントは反復業務の自動化、文脈に基づく作業の実行を支援し、顧客関係管理(CRM)、メール、エクセルなどのプロジェクトツールと連動する様子を見せた。ディープエルボイスは、Zoom、マイクロソフトTeamsなど主要なビデオ会議ソリューションと連動するリアルタイム音声翻訳機能である。この日の懇談会では、映像を通じてドイツ語で話した内容が英語の声に変換されて出力される様子が実装された。
クティロフスキCEOはディープエルエージェントについて「翻訳モデルで蓄積した正確度、文脈、セキュリティの能力などをエージェントにも適用し、複雑な企業向けワークフローを完成させた」とし、「初期ベータテストの結果、一般的なエージェントに比べ、より長く複雑な課題をうまく処理するというフィードバックが多かった」と述べた。ディープエルカスタマイゼーションハブに関しては「会社ごとに異なるトーン・用語・ルールを翻訳プロセスに自動適用し、誰が翻訳しても同じスタイルが出るようにすることが目標だ」とし、「最終的には利用者個人の表現習慣まで反映する水準へ発展させる」と説明した。
言語サポートも大幅に拡大する。ディープエルは年末までに70言語を追加し、100以上の言語を支援する予定である。ここには欧州連合(EU)の全言語に加え、ヒンディー語、マレー語、タガログ語など主要なアジアの言語が含まれる。
クティロフスキCEOは「韓国とアジアの顧客に、ディープエルの長期的な意思を直接示したくて再び韓国を訪れた」と述べた。続けて「AIが人間を代替するのではなく、人間の能力を拡張する方向へ進むべきだ」とし、「ディープエルエージェントを中心に、言語を越えて仕事の進め方そのものを変えることに集中する」と付け加えた。