3年間毎日ChatGPTを使ってきたマーク・ベニオフ・セールスフォースCEOが、グーグルの新型人工知能(AI)モデル「Gemini3」を体験した後、ChatGPTの使用を事実上中断する考えを示した。グローバルAI競争が毎月再編されるなか、シリコンバレーを代表する経営者の公然たる「転換」が業界の関心を集めている。
ベニオフは24日(現地時間)にX(旧ツイッター)で「3年間毎日ChatGPTを使ってきた。Gemini3を2時間使ってみたが、もう戻らない」と投稿した。ベニオフは「推論と速度、画像・動画処理まで全てがより速く鮮明になった」とし、「世界がまた一度変わったようだ」と評価した。この投稿は26日午前時点で320万人以上に表示された。
発言が注目を集める理由は、単なる個人的な使用体験を超え、業界全体に及ぼす波及力にある。フォーブスはベニオフの資産を約85億ドルと推定し、セールスフォースは主要AI企業と緊密なパートナーシップを築いてきた。先月にはOpenAIとの戦略的協力拡大を発表し、自社プラットフォーム「エージェントフォース360」にChatGPTとGPT-5モデルを統合すると明らかにした。当時ベニオフは「企業も消費者のようにChatGPT水準の即時性と知能を提供できる」と強調した。
そうしたベニオフがGemini3の公開直後にChatGPTではなくグーグルのモデルを支持して打ち出したことは、AI技術競争で優劣がいかに速く覆り得るかを示すとの分析である。
グーグルとディープマインドは先週Gemini3を発売し、これを「最も知的なモデル」と紹介した。このモデルは公開直後にAI性能評価プラットフォームLMArenaのリーダーボードで1位となった。シリコンバレーの関係者も相次いで肯定的な反応を示した。サム・アルトマンOpenAI CEOは「優れたモデル」と評価し、アンドレイ・カルパシー前テスラAIディレクターは「日常活用に非常に堅固なティア1モデル」と述べた。パトリック・コリソン・ストライプCEOも、Gemini3が生成した「遺伝学革新の要約インタラクティブページ」を公開し「驚異的な水準」と語った。
一方でOpenAI内部では危機感もにじむ。ザ・インフォメーションによると、アルトマンは内部メモで「苦しい時期が来るかもしれない」とし、「グーグルが最近あらゆる分野で印象的な成果を上げている」と社員に伝えた。アルトマンはグーグルの台頭が「短期的に会社に経済的な逆風をもたらし得る」と認めつつも、「OpenAIも急速に追い上げている」と強調した。
AI市場はここ数日で主要モデルが相次いで投入され、競争が一段と激化している。グーグルがGemini3を公開してから1週間も経たないうちにOpenAIはGPT-5.1を出し、Anthropicも25日に「Claude Opus4.5」を発表した。AI技術力の主導権を巡る競争が再びスピード勝負の様相を呈している。