ウォン・米ドル相場が1,470ウォン台まで急騰し強いドル高が続くなか、韓国のゲーム業界が為替差益の特需に期待している。ゲーム業界の特性上、ドル高に伴う原材料価格の変動の影響を直接受けず、海外売上比率も大きいため為替の恩恵を受けられるためだ。ただしゲーム会社ごとに海外売上比率が異なるだけに、為替がゲーム各社の業績に影響を与える変数として浮上した。
27日、ソウル外国為替市場で前日のウォン・米ドル相場は1,470.50ウォンで引けた。今年7月初めに1,350ウォン台だったウォン・米ドル相場は景気不確実性への懸念が強まった9月中旬以降、急ピッチの上昇を続けている。
為替上昇はドルに対するウォンの価値が下落したことを意味する。ウォンの価値が下落すると、企業が海外で稼ぐ売上規模が変わらなくても、国内で換算する際により多くのウォンに換算される。このため海外でドル建ての売上を稼ぐ韓国企業は、実際の販売量が同じでも為替効果だけでウォン基準の売上と営業利益が膨らむ反射利益を得る。一方でウォンで費用を使ったり原材料を購入する企業は原価負担が増す可能性がある。
通常、為替上昇は輸入コスト負担を高め韓国企業に否定的に作用するが、ゲーム業界は事情が異なる。韓国の主要ゲーム会社は売上の相当部分を海外で稼ぎ、知的財産(IP)の特性上、原材料価格の変動の影響を直接受けない。韓国コンテンツ振興院によると、2023年の韓国ゲーム業界の輸出額は83億9,400万ドル(約12兆2,980億ウォン)を記録し、これはコンテンツ産業全体の輸出の62.9%を占める。これによりゲーム業界は為替差益の特需を期待する雰囲気だ。
とりわけSHIFT UP、KRAFTON、Pearl Abyss、DoubleU Gamesなどは海外売上が全体の大半を占め、為替差益の効果を享受している。SHIFT UPは今年3四半期の売上755億ウォンのうち99.6%以上を海外で上げた。同社は「勝利の女神:NIKKE」と「ステラブレード」を153カ国以上でサービスしている。KRAFTONも今年3四半期の売上(8,706億ウォン)のうち海外売上比率が91.9%に達した。代表IPである「PUBG(バトルグラウンド)」が世界200カ国以上でサービスされ、北米・欧州・アジア全地域で均等に売上が発生している点が特徴だ。
Pearl Abyssも3四半期の売上1,068億ウォンのうち海外売上比率が81.5%に達する。「黒い砂漠」IPが北米・欧州市場で堅調な成果を出し、海外売上比率のうち60%以上が西欧圏で発生した。自社IPで開発・サービスする構造のため海外IPロイヤルティ費用がほとんどかからない点も為替効果を高める要素と評価される。海外売上比率が100%に達するゲーム会社もある。DoubleU Gamesは3四半期の売上1,862億ウォンのうち100%が海外で発生し、ソーシャルカジノゲームの特性上、北米売上比率だけで80%以上を占めた。グローバルプラットフォーム中心で事業が運営されるだけに、為替変動に敏感な代表企業として挙げられる。
こうした影響でゲーム業界の3四半期の業績は低調だったが、これらのゲーム会社は明確な改善傾向を示した。3四半期のSHIFT UPとKRAFTONの売上は前年同期比でそれぞれ30.1%、21.0%増加した。同期間、Pearl Abyssは前年同期比で売上が34.3%増加し、営業利益は106億ウォンで黒字転換に成功した。DoubleU Gamesは売上が前年同期比20.8%増となり、これは5年ぶりの最高実績だ。
一方、NCSOFT、カカオゲームズなど国内売上比率が高い企業は相対的に為替効果が限定的だ。NCSOFTは3四半期累計売上1兆1,027億ウォンのうち約37%が海外売上だと明らかにし、カカオゲームズは3四半期の売上1,275億ウォンのうち海外売上は20.7%にとどまった。NCSOFTは「リネージュ」シリーズなど中核の収益源が国内ユーザー中心であり、カカオゲームズも「オーディン」「フレンズゲームズ」など内需基盤のIP比重が大きい。これらのゲーム会社は原価構造上、一部の輸入サーバー・クラウド費用が増える可能性があり、純粋な恩恵の幅はより狭いとの評価が出ている。
ゲーム業界の関係者は「海外売上比率が高いゲーム会社ほど為替上昇の恩恵を受けるのは事実であり、強いドル高が続く状況で今後は為替が業績に影響を与える変数になった」と述べたうえで、「ただし海外IPロイヤルティをドルで支払ったり外貨建て借入金があるゲーム会社は、むしろ費用増加と換算損失が拡大する可能性がある」と語った。