かつて40%を超えていたシェアが3%未満まで落ち込んだポータル「Daum」が再出発に乗り出す。Daumは2014年にカカオと合併してから11年ぶりに来月1日に独立する。Daumが「エイエックスジー(AXZ)」という新設法人で事業を展開するということだ。
カカオはエイエックスジーにDaumニュース、Daumショッピング、Daum検索、Daumメール、Daumカフェなど事業部門の営業譲渡を完了する。Daum関係者は「既存の検索とニュースはもちろん、人工知能(AI)、ショートフォーム、チャンネル、カフェなどを網羅する総合コンテンツプラットフォームとして生まれ変わりたい」という抱負を明らかにした。Daumが再起に成功できるか注目される。
エイエックスジーのトップはヤン・ジュイル前コンテンツCIC(社内企業)代表が務める。ヤン・ジュイルはハンゲームとNAVERを経て、NHNチケットリンク代表、NHNバックス代表、NHNヨヘンバクサ代表を歴任した。
再出発に先立ちエイエックスジーは積極的な採用を進めている。現在、メディアサービス企画、ポータル映像サービス企画、総務担当者、インフラDevOps、検索サーバー開発者、ポータルサービス企画、メールサービス開発者、ポータル広告営業人員を募集している。従来カカオで使用していたインフラを別途構築する過程で人員が多く必要だというのが会社側の説明だ。7月までにもカカオエンタープライズ内の「検索CIC(社内会社)」人員を対象にエイエックスジーへの移動意思を問う社内説明会が開かれ一部で雑音があったが、チョン・シンアカカオ代表が「分社後の社員の人事配置は意向を最大限反映する」と明らかにし沈静化した。
しかし現時点では懸念の視線がなお多い。今年に入ってから24日までのDaumのシェアは2.93%だ。NAVER(62.79%)、グーグル(29.75%)に押されているのはもちろん、マイクロソフトBing(3.11%)にも追い越され4位に沈んだ。
Daumは1995年にフランスで留学していた創業者イ・ジェウンが友人と共に設立した会社だ。社名に「次の世界のコミュニケーションを牽引する会社」「多様な声(多音)から調和のとれた和音を生み出す会社」という二重の意味を込め、野心的に始めた。Daumは1997年にハンメイルサービスを開始した。韓国のインターネット時代を切り開いたと言っても過言ではない。Daumカフェはインターネットコミュニティの大衆化に一石を投じた。その過程で1999年、サムスンSDSの社内ベンチャー企業だった「ネイバーコム」が分社しインターネット検索サービスに参入した。2000年代初頭まではDaumが韓国の検索シェア1位を記録し、NAVERと共に韓国のポータル市場を二分した主要プレーヤーだった。しかしNAVERとグーグルが市場を急速に掌握し、Daumは居場所を失っていった。特にモバイル環境への転換に失敗し影響力が急速に縮小した。
途中で飛躍を試みた。しかし結果は失敗だった。Daumは2014年にカカオと合併し新たな転機を迎えた。合併当時はモバイル、インターネットなどITの能力を活用してDaumが復活できるとの期待感があった。しかし合併後のシナジーは期待に及ばず、Daumの存在感はむしろ弱まった。
Daumはすでに飽和した検索・コンテンツ市場でユーザーの滞在時間を延ばし独自の競争力を確保するため、AI基盤のパーソナライズサービスの高度化と差別化されたコンテンツ戦略を選択したとみられる。4月からDaumアプリでAI基盤のパーソナライズ型ニュース要約および情報提供チャットボット「ディディ(DD)」を提供しており、ポータル内の滞在時間を延ばすために2025年4月にショートフォームタブ「Loop」を導入したのに続き、5月にはショートフォーム専用ブランド「ショッド」を公開した。
一度崩れたプラットフォームのシェアを高めるのは容易ではないのが現実だ。内部人材の結束と士気の向上、新たなビジネスモデルの実質的な成果、ブランド再構築など課題は多い。カカオはエイエックスジーの売却計画がないことを明らかにしたが、市場ではエイエックスジーがAI実験プラットフォームとして成果を証明できなければ、長期的には売却の可能性を排除できないと述べる。Daumが復活に成功するのか、それともヤフーコリア、ライコス、エンパス、アイラブスクール、サイワールドのように思い出のポータルとして定着するのか見守る必要がある。
キム・ジュニク建国大経営学科教授は「Daumの分社は低迷したポータル事業を再整備するためのやむを得ない選択とみられるが、一度後れを取ったプラットフォームが再び飛躍する過程は決して単純ではない」と述べ、「再飛躍のためには単に新機能やサービスを追加することを超えて、プラットフォームの存在理由を再設計する戦略的転換が必要だ」と語った。