サムスンディスプレイが中国BOEから有機発光ダイオード(OLED)技術特許の使用料(ロイヤルティ)を受け取る。両社は2022年12月から進めてきた「OLED技術流出」紛争を終結し、その間に提起されたすべての訴訟を取り下げることにした。3年間にわたる技術流出紛争は、米国で不利な判決を前にしたBOEがサムスンディスプレイに和解を提案し、一段落したと伝えられている。
米国国際貿易委員会(ITC)は18日(現地時間)、サムスンディスプレイとBOEの間で争われた「営業秘密侵害」訴訟手続きを終結すると告知した。ITCは「当事者の合意書に基づき調査を中断(Joint Motion to Stay)し、事件を終結する」と述べた。サムスンディスプレイは2022年12月、ITCにBOEをはじめ米国の部品卸売業者を相手取り特許侵害訴訟を提起した経緯がある。2023年10月にもBOEを営業秘密侵害で提訴した。
先にITCは7月に侵害の予備判定を決定し、これに対する最終判決を今月17日に実施すると告知していた。ITCは予備判定で、BOEと7社の子会社がサムスンディスプレイの営業秘密を侵害したとみなした。これに伴い、BOEが14年8カ月の間、米国市場にOLEDパネルを販売できないよう「限定的輸入排除命令」(LEO)も併せて予備的に決定した。
ITCは予備判定を下し、「サムスンディスプレイのセキュリティ対策が卓越した水準だったにもかかわらず、BOEがサムスンディスプレイの営業秘密を不正な手段で取得し使用した」とし、「サムスンディスプレイに実質的な被害と深刻な脅威をもたらした」と述べた。これにより、サムスンディスプレイがOLEDの核心技術開発に要した期間(14年8カ月)と同じ期間の米国輸出制限付与が検討された。
両社がITCの最終判決を前に合意に至り、関連手続きが終結したものと把握されている。ディスプレー業界によると、今回の合意はBOE側の要請により実現した。BOEはアップルなど米国企業にOLEDパネルを供給している。予備判定の内容そのままで最終判決を受ける場合、米国向け輸出が封じられ、売上に甚大な打撃を受ける構図だ。これを懸念したBOEがサムスンディスプレイにOLED技術の特許使用料支払いを決め、紛争が一段落した構図である。サムスンディスプレイ側は「両社はディスプレー産業発展のため、公正な技術競争が重要だという点で意見を同じくし、双方間のすべての訴訟を取り下げることにした」と明らかにした。
ITCは今回の訴訟終結を告知しつつ、両社の具体的な合意内容は公開しなかった。しかし業界では、BOEがサムスンディスプレイに対し、自社のOLED売上と連動させて特許使用料を支払うとみている。これまでサムスンディスプレイは2兆ウォンを、BOEは5000億ウォンを特許使用料の支払い規模と見て交渉してきたが、1兆ウォン前後で合意に至ったということだ。サムスンディスプレイ関係者は「BOEとの具体的な合意内容を対外的に公開することはできない」と述べた。
両社は合意を締結し、今回終結した事件以外の他の特許・営業秘密訴訟もすべて取り下げることにした。サムスンディスプレイはBOEを相手取り、今年に入って米国だけで5件の知的財産権(IP)関連訴訟を提起し、BOEも1件の訴訟を提起した経緯がある。