李在鎔（イ·ジェヨン）サムスン電子会長が13日午後7時、ソウル・ヨンサン区ハンナム洞の勝志園で、2年ぶりに韓国を訪れたオラ・ケレニウス、メルセデス・ベンツ会長と夕食をともにし、車載事業の協力策について議論した。李在鎔会長とケレニウス会長の会合は、5月に中国・北京の釣魚台で開かれた中国発展フォーラム（CDF）以来、約6カ月ぶりだ。
今回の夕食会には、チェ・ジュソン サムスンSDI社長と、クリスチャン・ソボトゥカ ハーマン最高経営責任者（CEO）が同席したと伝えられている。勝志園は故イ・ゴンヒ先代会長が先代創業者の居宅を受け継ぎ、執務室兼迎賓館として活用してきた空間で、国内外の要人との主要会合に使用されている。昨年2月にはマーク・ザッカーバーグ Meta（メタ）CEOとムハンマド・ビン・サルマン サウジアラビア皇太子もここを訪れた経緯がある。
李会長はサムスン電子のオーディオ・車載子会社であるハーマンの買収を主導するなど、車載事業の育成に注力してきた。今回の夕食会でも、主要系列会社による車載部品供給に関する議論が行われたと伝わる。
サムスンとベンツは現在、車載インフォテインメントシステムやデジタルキー、カーオーディオなどで協力中である。ハーマンはベンツの電気自動車EQSに搭載される次世代インフォテインメントプラットフォーム「MBUX」を供給しており、サムスンディスプレイとサムスン電機も車載用OLED、車載用MLCCなどで協力基盤を拡大している。財界では、両社の協力がバッテリー・車載半導体など中核部品分野まで広がる可能性が高いとみている。
李会長は将来モビリティの中核部品であるバッテリーと車載をサムスンの将来の成長軸として育成しており、グローバル完成車メーカーとのネットワーク拡大にも力を入れてきた。2020年には鄭義宣（チョン・ウィソン）当時の現代自動車グループ首席副会長をサムスンSDI天安事業場に招き、全固体電池技術を議論し、2023年には米国でイーロン・マスク テスラCEOと会い協業の可能性を議論した。2025年3月には中国でBYD本社とシャオミの雷軍会長を訪ね、中国電気自動車業界との接点も広げた。
サムスンの車載事業は李会長のグローバルネットワークを基盤に成果も表れている。サムスンSDIは2023年、現代自動車の次世代電気自動車モデル（2026〜2032年）に対するバッテリー供給契約を締結した。テスラは7月、自動運転半導体AI6をサムスン電子の米国テキサス・テイラー工場で生産すると明らかにし、両社のファウンドリー協力が具体化した。サムスン電機は李会長のBYD訪問の1カ月後である2025年4月、BYD向けMLCCの供給を開始した。
サムスンSDIは角形・円筒形バッテリーの技術力を基にプレミアム電気自動車のサプライチェーンを拡大してきており、全固体電池でも業界の競争力を認められている。サムスンSDIがベンツと次世代バッテリーのサプライチェーンを構築する場合、ベンツ・BMW・アウディなどドイツの3大プレミアム完成車メーカーをすべて顧客として確保することになる。ハーマンはベンツEQSモデルのMBUX（デジタルコックピットシステム）を供給しており、カーオーディオ・ADAS・テレマティクスなど主要な車載ソリューション技術を保有している。
一方、ケレニウス会長はこの日、先立ってLGツインタワーで、チョ・ジュワン LGエレクトロニクスCEO、キム・ドンミョン LGエナジーソリューションCEO、チョン・チョルドン LGディスプレイCEO、ムン・ヒョクス LGイノテックCEOらとも会合した。ケレニウス会長はミーティング前に「LGはベンツの長年の強力なパートナーだ」と語った。ケレニウス会長はチョ・ヒョンサン HS暁星副会長との会合も予定されている。HS暁星の系列会社であるHS暁星ザ・クラスは韓国内のベンツ公式ディーラー社だ。
財界関係者は「サムスン、LGなどが車載事業の拡大に注力しているだけに、今回の来韓を機に協力の議論が幅広く行われるだろう」と述べた.