サムスン電子、SKハイニックス、キオクシア、マイクロンなど世界の4大NAND型フラッシュ製造各社が今年後半に一斉にNANDの供給量を減らしている。供給調整によって価格上昇を促す一方で、人工知能(AI)データセンターを中心に需要が急増しているクアッドレベルセル(QLC)工程へ生産設備を切り替える過程で生産量の損失が避けられないという分析が出ている。
これと同時にサムスン電子、SKハイニックス、キオクシアなどは昨年を通じて原価水準にとどまっていたNAND価格の引き上げを進めている。とりわけサムスン電子は海外の大口顧客と来年のNAND供給数量を協議中で、社内では20〜30%以上の値上げを検討していると伝えられている。
12日にChosunBizが入手した市場調査会社オムディアの年間NAND型フラッシュ生産量資料をみると、サムスン電子が今年のNANDウエハ生産量目標を前年(507万枚)より約7%減らした472万枚水準へ下方修正したことが把握された。キオクシアも昨年の480万枚から今年は469万枚へと生産量を調整したことが明らかになった。サムスン電子とキオクシアの減産基調は来年まで続くというのがオムディアの見立てである。
SKハイニックスとマイクロンも生産量の規模を保守的に制限し、値上げ効果を狙っている。SKハイニックスのNAND生産量は昨年の201万枚から今年は180万枚水準へと約10%下がった。マイクロンも状況は同様だ。マイクロンは最大のNAND生産拠点であるシンガポールのFab7工場の生産量を30万枚台前半に維持し、保守的な供給基調を続けている。
このように主要サプライヤーが一斉に生産量調整に乗り出すなか、NAND製品の平均販売単価(ASP)も急騰している。前四半期だけで15%上昇したNAND価格は、今後40〜50%以上急騰する可能性があるというのが海外市場調査会社の見方である。トレンドフォースによれば、市場で最も広く使用される512Gbトリプルレベルセル(TLC)NANDチップのウエハ現物価格は前週比14.2%上昇の5.51ドルを記録した。現物価格は流通市場で即時に取引される価格を指し、この価格が上がるということは、それだけ製品の入手が難しくなったことを意味する。
TLCベースのNANDの需給逼迫が起きているということは、主要NAND供給各社がTLCではなく収益性の高いQLCに注力していることをも意味する。QLCとTLCはNANDフラッシュの基本単位である1つのセルに保存されるビット数を指す。TLCは1つのセルに3ビットを保存する一方、QLCは4つを保存できる。同じ面積でQLCはTLCより30%多い容量を確保できるため、AIデータセンターに不可欠な大容量SSDの製造に有利である。
半導体業界関係者は「既存のTLCベースNAND生産ラインをAIデータセンター向けSSDに不可欠なQLCへ転換する過程で、TLC NANDの生産設備の一部が止まる自然減産効果が主要4社すべてで起きている」と述べ、「通常、設備転換と工程転換の過程で発生する生産量の『損失』は、市場価格の急騰につながるのが通例だ」と説明した。
一方、長期にわたり供給過剰で苦境にあったサムスン電子とSKハイニックスもNAND値上げの兆しを受けて収益性の最大化に動いた。先立って米国のサンディスクは今月からNAND製品の契約価格を最大50%程度引き上げたとされる。NAND価格の急騰を懸念する北米の主要ビッグテックが「買いだめ」に動き、来年のNAND供給数量はすでに完売したとの分析も出ている。