モハンマド・エスラミイラン原子力庁長兼副大統領の国際原子力機関(IAEA)総会での演説が流れた。当初エスラミ長官はオーストリア・ウィーンのIAEA本部で開かれる年次総会に出席して演説する予定だったが、米国の強い要求によりオーストリア入国が拒否されたと伝えられている。
14日(現地時間)ブルームバーグなどによると、エスラミ長官がIAEAに不参加となった。予定されていた演説も不発に終わった。イランのメフル通信は先に、エスラミ長官が今回の年次総会出席のためテヘランを出発したと報じたが、エスラミ長官がオーストリアに入国できなかったようだ。
ブルームバーグによると、米当局者は、エスラミ長官が国連の制裁対象であることを理由にオーストリア政府が入国を拒否したと述べた。当局者は、オーストリア政府が国連(UN)制裁委員会にエスラミ長官の入国制裁の免除を要請したものの、米国の強い要求で頓挫したと付け加えた。
これは、エスラミ長官のIAEA総会出席と演説のためにUNの制裁を一時的に免除すれば、イランの核開発と政権に正当性を付与するものと受け取られかねないとの懸念によるものとみられる。
イランと20115年の核合意(JCPOA・包括的共同行動計画)を結んだフランス、英国、ドイツの欧州3カ国は、イランが核合意に故意に違反したとみて、昨年9月にUN制裁を復活させる「スナップバック」手続きを稼働させた。これによりエスラミ長官に対して渡航禁止の制裁が科された。
一方、同日から18日まで開かれるIAEA年次総会では、中東地域の核安全措置(safeguards)に関する案件が議論される予定だ。米国からはクリス・ライトエネルギー長官がIAEA総会に出席し、イランの核プログラムの停止と核兵器保有の禁止、IAEA査察団によるイラン核施設の調査再開の必要性を強調すると見込まれる。
こうした状況のなか、米国と7月に原子力協定を結んだサウジアラビアが、これまで消極的だったIAEAとの核安全措置協定(CSA)と追加議定書(AP)の受け入れまで議論するかどうかにも注目が集まる。