欧州が米国への安全保障依存度を下げるなか、英軍はイーロン・マスクのスペースXによる衛星通信網の利用を拡大したことが明らかになった。
10日(現地時間)ロイター通信によると、英国防省は現在、軍事・情報任務用の衛星通信サービスである「スターシールド(Starshield)」端末約1000台とスターリンク端末約500台を保有している。
政府は端末購入と通信利用料などを含め、スターシールドに約1300万ポンド(約1760万ドル、236億6260ウォン)、スターリンクに1650万ポンド(2229万5635ドル、300億3330ウォン)を支出したと把握している。両サービスを合算すると約4000万ドル(538億9200ウォン)に達する。
英国は米国を除き、スターシールド導入事実を公式に認めた初の国家である。英軍は2022年半ばからスターリンクの使用を開始し、2024年から既存のスターリンク端末でスターシールドの通信サービスを利用した。昨年にはスターシールド専用端末を初めて購入した。最近では実際の軍事作戦に用いる通信をスターシールドへ移行している。
スターシールドはスペースXが政府や軍・情報機関を対象に提供する衛星通信サービスである。一般消費者と企業を対象とするスターリンクと同じ衛星と地上インフラを使うが、専用端末と別個の地上ネットワークを通じて運用される。
英軍がスターシールド導入を増やした背景には、スペースXの方針も影響したとみられる。スペースXが軍におけるスターリンクの使用を将兵の福利厚生や余暇、訓練などの用途に限定し、実際の軍事作戦にはスターシールドを使わざるを得ない状況になった。
スターシールドはスターリンクより価格もはるかに高い。英国でデータ5テラバイト(TB)を提供するスターシールドの料金プランは月5500ポンド(1000万ウォン)、無制限プランは月2万5000ポンド(4552万ウォン)である。スターリンクの企業向けグローバルデータ2TBプランが月1830ポンド(333万ウォン)であるのと比べると価格差が大きい。
スターシールド専用端末も1台あたり4000〜7000ポンド(728万〜1274万ウォン)で、企業向けスターリンク端末の公開販売価格より少なくとも2倍は高い。
英国の動きは米国への安全保障依存を減らそうとする欧州の流れとは反対である。米国の欧州安保関与が長期的に継続するか不確実性が高まるなか、欧州各国は自前の防衛能力強化を急いでいる。
英国は自前の軍事衛星通信網「スカイネット」を保有している。スターリンク以外で唯一、大規模な低軌道(LEO)広帯域衛星網を運用するフランスのユーテルサットの株主でもある。
ただしユーテルサットのワンウェブは依然としてスペースXと相当な差がある。ワンウェブが運用する衛星は600余機である一方、スターリンクの衛星は1万機を超える。EUがデジタル主権と戦略的自律性の確保を目的に推進する多軌道衛星通信「IRIS2(アイリス2)」も、実サービスまでには時間を要する状況である。
英国防省はスターシールドを利用する理由について「強化された暗号化と軍専用の利用条件、高いネットワーク優先順位などを提供する」と説明した。