中国が最近、北極航路の定期運航サービスを開始し、その背景に関心が集まっている。海上輸送時間を短縮できるという経済的利点が北極航路運航の主な理由とされるが、その背後には地政学的な目的もあるとの分析が出ている。

先月15日、中国東部の浙江省寧波にある舟山港にシーレジェンド所有の船舶「ドバイタワー」号が停泊している。/ AFP=聯合

8日(現地時間)のニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、中国はアジアと欧州を結ぶ北極航路を利用し、初の定期貨物輸送サービスを推進している。中国の貨物船ドバイタワー号は、チンタオから英国ティーズポートまで約3週間の北極航路航海を終え、今週中に中国へ戻る予定だ。中国海運会社シーレジェンドはドバイタワー号を含め、合計8回の北極航路運航を計画している。

北極航路は北極海を横断してアジアと欧州を結ぶ近道で、スエズ運河を通過したりアフリカの喜望峰を回る既存の航路より数千マイル短い。アジア〜欧州区間の場合、既存航路より航海時間を約2週間短縮できるとされる。

しかし輸送時間を短縮できる利点にもかかわらず、北極航路の商業性はまだ低いとの評価が出ている。運航可能な期間が短いうえ、海氷状況によって運航が制限され、貨物船が砕氷船の支援を受けなければならない場合もある。グローバル供給網を研究するバージニア大学のビディア・マニ准教授は「北極航路は商業的に実現可能性がほとんどない」と評価した。

それでも中国が北極航路開拓に積極的に乗り出す背景には、地政学的目的があるとの分析が出ている。米国がデンマーク領グリーンランドの併合意思を示すなど、北極を巡る強国間の競争が激しくなるなかで、中国もこの地域で影響力を先取りしようとしているということだ。

中国問題の専門家で米シンクタンク、アトランティック・カウンシルの非常駐上級研究員であるデクスター・ロバーツは「中国は当面商業性がないように見えることでも推進するのに長けている」とし、結局「これらすべてが地政学的勝利につながるだろう」と述べた。当面の経済性よりも長期的な地政学的利益を念頭に北極航路開拓に乗り出しているとの意味合いだと解される。

とりわけ北極航路は、西側の制裁を受けるロシア産原油を中国へ輸出する通路としても活用されている。北極航路を利用すれば、中国などアジアへ向かうロシア産貨物が欧州周辺海域を迂回できるため、西側の制裁に伴う船舶検査や拿捕などのリスクを減らせるためだ。

NYTは「ロシアはすでに北極航路を利用して中国との関係を強化している」と伝えた。先月、英国の海運専門メディア、ロイズ・リスト(Lloyd's List)は、西側の制裁強化にもかかわらず、少なくとも5隻の「シャドーフリート(shadow fleet)」所属の油槽船が北極航路を通じてロシア産石油を中国へ輸送したと把握されたと報じた。

ワシントン所在のシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズのアジアプログラム責任者であるライル・ゴールドスタインは、中国の新たな北極航路サービスが「明らかに中国とロシアをさらに近づけるだろう」と述べた。

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