昨年10月、世界最大規模のルーヴル美術館で8800万ユーロ(約1372億ウォン)相当のフランス王室の宝飾品が盗まれてから1年もたたないうちに、今度はフランス南部のルノワール美術館が荒らされた。フランス政府が博物館・美術館の警備を強化するとして対策まで打ち出したものの、フランスの博物館・美術館が相次いで盗難の標的となる背景には、長期間にわたる警備投資の不足があるとの指摘が出ている。さらにソーシャルメディア(SNS)を通じて急造された犯罪組織が登場し、美術館窃盗の手口自体も一段と大胆になって脆弱な警備網の隙を突いているとの分析である。

8日(現地時間)、フランス南部カーニュ=シュル=メールのルノワール美術館の入口前にフランスの警察官が立っている。美術館に展示されていた作品2点が盗まれた。/EPA通信

8日(現地時間)ロイター通信などによると、この日午前6時、フランス南部ニース近郊のカニュシュルメールにあるルノワール美術館で、印象派画家ピエール・オギュスト・ルノワールの作品2点が盗まれた。当初、犯人らはルノワールの作品4点を持ち去ろうとした。しかし警報を受けて出動した警察が追跡すると、「マダム・ピションの肖像(Madame Pichon)」と「本を読むココ(Coco Reading)」など2作品を庭に捨てて逃走した。

現在も盗難状態にある作品は「マダム・コロナ・ロマノの肖像(Portrait de Madame Colonna Romano)」と「井戸端の若い女性(Young Woman at the Well)」である。2作品はいずれもパリのオルセー美術館の所蔵品で、ルノワール美術館に貸与されていた。マルセイユ検察は組織的窃盗の疑いで捜査に着手した。

博物館・美術館の盗難事件は初めてではない。昨年10月19日には、窃盗犯4人が車両搭載型リフトを使ってパリのルーヴル美術館に侵入し、8800万ユーロ相当(約1372億ウォン)の王室の宝飾品8点を盗んで逃走した。7月24日には、ブルゴーニュ地域のペイ・シャティヨネ美術館で、約2500年前のケルト族の金の首飾り「ビクスのトルク」が真昼に盗まれた。

◇数十年にわたり後回しの警備投資…ようやく補強に動くフランス

このようにフランスで美術館・博物館を狙った盗難事件が相次ぎ、脆弱な警備体制が原因として指摘されている。フランス下院が今年公表した調査報告書によると、文化省が2024年に全国の美術館・博物館を対象に調査した結果、警備関連の設問に回答した616施設のうち映像監視システムを備えるのは54%にとどまった。事実上、半数近い施設に映像監視システムがなかったことになる。非常・危険予防計画を備えるのは23%、文化財保護計画を完成させているのは25%にとどまった。公式の警備指針を備える施設も64%だった。

人員も減少した。フランス文化労組(CGT Culture)によると、来館者対応や監視・収蔵庫管理などを担当する正規職員は2012年の3776人から2024年には3100人へと18%減少した。フランス下院は報告書で、数十年にわたる博物館・美術館の警備投資不足が影響したと指摘した。多くの施設で警備予算が財政状況に応じて調整される項目として扱われたり、運営陣の優先順位で後回しにされたということだ。施設の規模や、国立・地方自治体・民間など運営主体によっても警備水準に大きな差があることが明らかになった。

フランス政府と博物館側も警備強化に動いた。昨年のルーヴル美術館盗難事件の際に監視カメラの死角など警備の隙が露呈すると、ルーヴル側は年末までに屋外監視カメラ100台を追加設置し、美術館敷地内に警察の拠点を設けることにした。フランス文化省も7月に警備強化策33項目を打ち出し、3000万ユーロ(約466億ウォン)規模の警備基金を用意して、全国で警備強化が急がれる事業482件を優先支援することを決めた。

それにもかかわらず、2カ月もたたないうちにルノワール美術館で再び作品盗難事件が発生した。フランス文化省は今回の事件直後、「美術館の脆弱性を残酷なまでに露呈させた事件だ」として、全施設に対し直ちに必要な緊急警備措置を実施するよう促した。文化省は2027年に追加支援が急がれる施設の把握も進めている。

◇専門窃盗団の代わりにSNSで集った『急造組織』…変わる美術品犯罪

そこへ、美術館を狙う犯罪手口自体が急速に変化している点も問題とされる。欧州連合(EU)の警察機構であるユーロポール(Europol)は先月24日に発表した「変化する手口、変化する標的:進化する美術館強奪(Changing tactics, changing targets: the evolving nature of museum heists)」報告書で、欧州の美術館窃盗が、過去の非暴力的な組織的財産犯罪から、より直接的で大胆な形態へと変わっていると分析した。

犯罪組織の構成方式も変わった。かつての美術品窃盗を専門とする組織の代わりに、ソーシャルメディア(SNS)などを通じて人員を集めた臨時の組織が犯行に加担する事例が登場した。彼らは侵入の過程で大型ハンマーや爆発物、銃器まで動員するなど、実力行使にもためらいがないことが確認された。高価な貴金属や宝石、文化的に重要な遺物などが主要標的だ。

フランスの美術館・博物館は、既存の警備の弱点を補うと同時に、急速に変化する犯罪手口にも対応しなければならない状況だ。ブリアン・マソン・カニュシュルメール市長は今回のルノワール作品盗難事件に関連し、「新たな形態の美術品犯罪に直面する美術館の保護問題に警鐘を鳴らすべきだ」と述べた。

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