アンディ・バーナム英国新任首相がヨルダン川西岸地区のイスラエル入植地との交易を禁じる方針だ。前任政権より強硬な対イスラエル政策を掲げて労働党支持層を取り戻す狙いだが、親イスラエル傾向のドナルド・トランプ米国大統領と就任当初から摩擦を生む可能性が大きい。
7日(現地時間)ブルームバーグ通信と英日刊紙ガーディアンによると、エド・ミリバンド英国外相は8日、英国とイスラエル関係を全面的に再整備する方策を発表する。西岸地区内の違法入植地で生産された商品と一部サービスの取引を禁じ、パレスチナの権利と「二国家解決」への支持を再確認する内容が盛り込まれる見通しだ。
制裁対象はイスラエル全体ではなく西岸地区の入植地に限定する。商品だけでなく入植地に対する金融や広告など一部サービスも禁止対象に含める見通しだ。これまで勧告事項だった入植地投資の制限も法的義務に変わる。
英国政府はトランプ政権の反発を懸念している。ブルームバーグによると、英国の外交官は米国側に対し、入植地のみを狙った象徴的措置だと説明した。英国とイスラエルの貿易・安保関係全般には実質的な影響を及ぼさないということだ。
バーナム首相は制裁発表の前日である7日、トランプ大統領と電話会談を行い、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立国家として共存する「二国家解決」を議論した。ブルームバーグは、バーナム首相が通話で制裁計画を事前に伝えた可能性があると分析した。
英国が強硬対応に踏み切った直接の契機はイスラエルの入植地拡大計画だ。イスラエル政府は最近、西岸地区で入植地住宅1200戸を建設するための入札手続きを開始した。エルサレム東方で推進する「E1入植地事業」が予定どおり進めば、西岸地区は11月から事実上二分される可能性がある。パレスチナ独立国家の樹立も一層難しくなる。
バーナム首相はカナダとフランス・ドイツ・イタリアなど欧州5カ国の首脳と共同声明を出し、入植地建設計画を「容認できない」と批判した。ベンヤミン・ネタニヤフイスラエル首相に対し、入札計画を撤回するよう求めた。
英国政府はガザ地区に入る救援物資を妨げた個人や団体を既存の人権制裁対象に含める案も検討した。イスラエルのパレスチナ領土占領が違法だとする国際司法裁判所(ICJ)の2024年の勧告的意見を公式に支持する案も検討した。
ただし今回の発表に救援物資搬入制限に関する制裁は含まれない見通しだ。ガザ地区で起きた事案を「ジェノサイド」と規定する可能性も小さい。
英国世論は入植地制裁に好意的だ。オピニアムの調査で、イスラエル入植地と商品の交易を禁じることに賛成した回答者は46%で、反対意見18%の倍を超えた。意見を示さなかった回答者を除くと賛成率は75%に迫った。
バーナム首相は前任のキア・スターマーよりイスラエルに断固として対応する考えを明確にしている。スターマー前首相は在任中にパレスチナを国家として公式承認したが、政権初期にネタニヤフ首相へガザ地区の軍事作戦の中止を求めなかったため、労働党左派の反発を招いた。労働党の支持率は下がり、緑色党は各種選挙で躍進した。
先月議会に復帰してスターマー前首相を退け首相職に就いたバーナム首相は、前任政権のガザ地区対応を謝罪した。バーナム首相は労働党がイスラエル問題に「適切に対処できなかった」と認めた。
イスラエルと米国の反発はすでに始まったとみられる。マイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使は、労働党政権が反ユダヤ主義にとらわれていると主張した。ネタニヤフ首相の長男ヤイルは、フォークランド諸島が英国ではなくアルゼンチンの領土だと主張した。
トランプ大統領も、アルゼンチンがフォークランド諸島を侵攻しても英国を支持しないと明らかにした。2月に米国とイスラエルがイランとの戦争を始めた際に英国が自分を助けなかったことを理由に挙げた。