米国とイランの戦争で破壊された中東のエネルギーインフラを復旧するための物資輸送が増え、グローバル航空貨物業界が特需を享受している。パイプライン復旧に必要な機械や資材を迅速に運ぶため海上運送ではなく航空運送を選ぶ企業が増えた結果である。ここに人工知能(AI)データセンター建設ブームまで重なり、サーバーやグラフィックス処理装置(GPU)など高額機器の航空運送需要も増加する雰囲気だ.
6日(現地時間)フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、世界最大の航空貨物ハンドラーであるシンガポールSATS(以下、SATS)は、最近米国エネルギー企業が中東に送る機械と資材の物量が増え、売上が増加していると明らかにした.
SATSはシンガポール・チャンギ空港に本社を置く航空貨物・地上運航会社で、もとはシンガポール航空の子会社だったが2009年に分離した。2023年にフランス・パリに拠点を置く航空貨物・地上運航会社ワールドワイド・フライト・サービス(WFS)を13億ユーロ(約2兆0374億ウォン)で買収し、世界最大の航空貨物ハンドラーに躍り出た.
SATSによると、米国ヒューストンとダラスから中東へ向かう航空貨物需要が大きく増えた。イランの爆撃で損傷した中東地域のパイプラインなどを復旧・維持するため、米国エネルギー企業が必要な機械と資材を急いで送っているためだ.
ケリ・モクSATS最高経営責任者(CEO)は「ここ数カ月間、米国発のチャーター貨物需要が大きく増えたが、これは中東戦争の直接的な影響だ」と説明した。SATSが利用したチャーター貨物機は多い場合、週50便に達した.
このように戦争を契機に企業が海上運送より航空運送を選ぶ事例も増えている。航空運送は海上運送より費用がかかるが、配送時間を大幅に短縮できる。米国の関税政策や中東地域の物流混乱などでグローバル供給網の不確実性が高まり、迅速な配送を要する貨物を中心に航空運送需要が増加したというわけだ.
実際にSATSの4〜6月の売上は前年同期比11.3%増えた。同期間の最大市場である米州の売上は15.4%増加した。SATSは高額かつ迅速な輸送を要する貨物需要が業績を押し上げたと説明した。ただし運航便の混乱とエネルギー関連費用の増加で純利益は6%増の7500万シンガポールドル(約800億ウォン)にとどまった.
航空貨物需要を押し上げるもう一つの柱はAIデータセンターだ。グローバルテック企業がAIインフラ構築に巨額の資金を投じ、サーバーラックや記憶装置、GPUなどの核心機器を迅速に輸送する必要性が高まっているためである。データセンターは定められた日程に沿って構築しなければならない以上、核心機器の輸送が遅れれば全体の建設工程にも支障が生じるほかない.
モクCEOは、データセンター建設は日程順守が重要であるだけにサーバーラックや記憶装置、GPUなどの核心機器すべてを航空便で輸送していると説明した。モクCEOは「AIインフラ投資が(会社に)大きな順風(big tailwind)になっている」と評価した。FTによると、グローバルテック企業は2030年までにデータセンターに7兆ドル(約9422兆ウォン)を投資する見通しだ.
とりわけ増加した航空貨物需要は航空会社にも波及する雰囲気だ。FTは大韓航空(003490)と日本航空(JAL)もAIチップとデータセンター機器の輸送需要に支えられ、貨物売上が増加していると伝えた.
業界では中東地域のエネルギーインフラ復旧が続くなかAIインフラ投資まで拡大し、航空貨物需要が当面は堅調な流れを維持すると見ている。とりわけ復旧用の機械・資材やAI関連機器のように迅速な輸送を要する高付加価値貨物が増えるなか、航空運送市場の成長が続くか注目される.