車両呼び出し企業Uberの共同創業者で前最高経営責任者(CEO)であるトラビス・カラニックが、過去に成し遂げられなかったロボタクシー事業に再挑戦している。各種の論争の末にUberのCEO職を追われてから9年ぶりである。カラニックCEOは新たに発足させた人工知能(AI)・ロボットのスタートアップ、アトムスで旧Uber自動運転チームの人員を再招集するなど、自動運転技術の開発に乗り出した。Uberもアトムスに1億ドル(約1350億ウォン)を投資したと伝えられている。
6日(現地時間)フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、カラニックCEOが率いるアトムスは最近、自動運転分野のエンジニアを大規模に採用し、関連企業の買収も検討している。アトムスは7月、米ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツが主導した投資ラウンドで17億ドル(約2兆2942億ウォン)を調達した。
とりわけカラニックCEOが創業したUberと再び手を組む可能性に関心が集まっている。FTは複数の関係者を引用し、Uberがアトムスに1億ドル(約1350億ウォン)を投資し、両社がアトムスの技術をUberの車両呼び出しネットワークのロボタクシーに活用する案を初期段階で協議したと伝えた。両者の協力が現実化すれば、カラニックCEOが2019年にUberの取締役会を離れて以降、初めてUberのライドヘイリング事業に再び関与することになる。
カラニックCEOは2017年、Uber社内のセクハラ・差別放置疑惑や経営陣を巡る各種の論争に加え、規制当局の調査が重なり、UberのCEOの座を退いた。その後2019年には取締役会も去った。
カラニックCEOは自動運転事業のため、過去にUberで共に働いた人材を再び呼び戻している。代表的な人物が、グーグルの自動運転事業出身でウェイモ(Waymo)を共同創業し、その後Uberの自動運転事業を率いたアンソニー・レバンドフスキーである。レバンドフスキーは過去にグーグルの自動運転関連の営業秘密を持ち出した容疑で有罪判決を受けた。当時この事件はカラニックCEOのUber CEO退陣にも影響を与えた。レバンドフスキーは現在、アトムスの自動運転車事業を率い、ロボタクシー技術の開発を担当している。
このほかにもカラニックCEOは、かつてのUber社員数十人を採用した。アマゾンの自動運転子会社ズークス(Zoox)、テスラ、アルファベットのウェイモ出身の人材も採用している。Uberの前最高財務責任者(CFO)であるゴータム・グプタもアトムスのCFOとして合流した。
ただしアトムスは、ロボタクシー市場に直接参入するとの解釈には一線を画している。アトムスはFTに対し、自社を産業分野に焦点を当てたソフトウエア企業と規定し、「すでに競争が激しいロボタクシー市場に進出する計画はない」と明らかにした。そのうえで、Uberはアトムスのパートナーであり、必要な場合にはアトムスの技術を車両呼び出し事業に活用できると説明した。
カラニックCEOもアトムスの事業領域をロボタクシーに限定していない。カラニックCEOは産業用AIとソフトウエア、ロボット技術を活用し、建設・鉱業・食品・運送など複数の産業を自動化する構想を示している。
ただし自動運転は、カラニックCEOがUber時代から進めてきた宿願の事業である。先の7月、カラニックCEOは17億ドル規模の資金調達を発表し、「今回の投資は多くの面で終えられなかった事業だ」と述べた。最近公開したアトムスの事業構想を盛り込んだ文章のタイトルも「終えられなかった事業(Unfinished business)」だったとFTは伝えた。
最近Uberもロボタクシー事業に積極的に投資している。自ら車両を開発するよりも、複数の自動運転企業の車両を自社プラットフォームにつなぎ、世界最大規模のロボタクシーネットワークを構築する戦略である。カラニックCEOが、かつて自ら創業したUberと再び手を組み、10年前後前に成し遂げられなかった自動運転事業の構想を現実化できるかが注目される。