中国の自動車各社が開発期間を急速に短縮する中で自動車の安全性に対する懸念が高まっている。これを受け中国当局も乗り出し、業界の安全性と試験手続きに対する監督を強化している。

19日、ガーナのアクラで開かれた中国自動車大手の広州汽車集団(GAC)の公式発表会で中国ブランド車が展示された。/ 新華=聯合

31日(現地時間)ブルームバーグ通信によれば、中国の自動車設計会社IATオートモービル・テクノロジーと中国自動車工業協会(CAAM)は、中国の自動車メーカーが人工知能(AI)を活用することで、まったく新しいモデルを市場に投入するまでに要する期間を最大18カ月まで短縮できると試算した。

従来の海外自動車メーカーの開発期間がおおむね3〜5年であるのに対し、中国の自動車メーカーの平均開発期間は約2年水準だった。ところがこれすら短縮され始め、いわゆる「チャイナスピード(China speed)」が新たなグローバル基準を作り、既存自動車ブランドを市場シェアをめぐる生存競争に追い込んでいるとブルームバーグは伝えた。

中国の自動車メーカーはAIを活用し数十の段階からなる開発工程で時間を短縮している。例えば実車モデルを製作する前にデジタル設計模型を検討し、車両の構造と機能を評価するのにAIを活用した。従来はエンジニアが直接この作業を行い、数万点に及ぶ部品を一つひとつ点検しなければならなかった。

業界では、圧縮された開発スケジュールが中国自動車ブランドの評判を損なうリスクがあるのか、とりわけ欧州のような海外市場に進出する過程で問題となり得るのかなどをめぐって論争が起きている。

チェリー自動車のリ・シェヨン副社長は26日、ソーシャルメディア(SNS)に投稿した文章で「自動車は回転が速い消費財ではない。数百万世帯の安全と直結しており、世界各地の多様な道路条件と気候、運転習慣に耐えなければならない」とし、「いかにしても短縮してはならない開発スケジュールが明確に存在する」と述べた。

中国の規制当局も安全問題に強く対応している。スピードを追求する過程で品質が低下し得るとの懸念を払拭するため、自動車メーカーを対象に抜き打ち点検を含む1年間の取り締まりキャンペーンに着手した。また中国工業情報化部は従来の慣行と異なり、自動車メーカーを現場点検した後、どの企業を調査したのかを迅速に公表している。7月だけで少なくとも5社の主要自動車メーカーが点検を受けた。

最近、広州汽車集団(GAC)の電気自動車ブランドAIONの一部車両で累計走行距離15万kmを記録した後にバッテリーに問題が発生したとの報道が出ると、工業情報化部は当該企業に対する現場点検を実施した。AIONは当該バッテリーを無償で修理または交換していると明らかにした。

ここに、新エネルギー車に義務適用される実路走行試験距離も現行の2倍である3万kmに増やす案を推進中である。開発手続き短縮で安全基準と消費者の信頼が弱まる可能性への対応措置である。中国では最近、世間の注目を集めた複数の死亡事故をきっかけに、バッテリーと先進運転支援システム(ADAS)、自動車のドアハンドルに対する規制も強化された。

速い開発スピードが中国企業の競争力を示すという見方もある。ル・パン東風汽車・博雅ブランドの会長は、迅速に開発したとしても要求される試験をすべて終えていれば効率性を立証したにすぎないと主張した。

しかし中国の自動車メーカーが開発速度を落としにくい状況だという声も出ている。販売減少と原材料価格の上昇でサプライチェーン全体の、すでに低水準にある利益率がさらに圧迫されているためである。

先に、浙江吉利控股集団のリ・スフ会長は6月、中国国営放送CCTVとのインタビューで「誰かに速度を落とせと求めるのは現実的に不可能だと思う。皆が先に出るために競争している」とし、「そのような要求は難しすぎるかもしれない。私に速度を落とせと言うなら、私も『そうしよう』とは答えないと思う」と述べた。

ブルームバーグ通信は「いっそう厳格になった基準を満たすのに要するコストが増え、自動車業界の二極化が深まる可能性もある」とし、「小規模企業は、成熟した経営システムと豊富な資本を備える大手メーカーとの競争で後れを取る可能性がある」と分析した。

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