ドナルド・トランプ米国大統領が金正恩北朝鮮国務委員長に先に会って対話の糸口を開いた後、11月の中間選挙以降に2回目の米朝首脳会談を続けることができるという元米当局者の見方が出てきた。
トランプ1期政権でホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)北朝鮮担当局長を務めたアンソニー・ルッジェロは30日(現地時間)、米PBS放送の対談番組に出演し「トランプ大統領は対話を始めるために金正恩にただ会うと思う」と語った。
ルッジェロ前局長は続けて、11月初めの中間選挙以降または来年に2回目の米朝首脳会談が開かれる可能性があると見通した。トランプ大統領が早ければ中間選挙前に金委員長と会って対話を始め、その後の首脳会談に続けることができるということだ。
ルッジェロ前局長は、北朝鮮が核兵器を保有している現実を黙認する必要があると主張した。これを前提に、北朝鮮軍のウクライナからの撤収など米国がより重視する問題に交渉の焦点を合わせることができるという説明だ。
ルッジェロ前局長は、自身も過去には北朝鮮の非核化に集中していたが、最近は北朝鮮の核兵器保有の現実を認める方向に考えが変わったと明らかにした。
ルッジェロ前局長は「大統領と参謀陣が悩むべき問題は、北朝鮮と実質的な効果がある合意を引き出せるかどうかと、これを自国の核武装の青信号とみなす国々を管理できるかどうかだ」とし、「われわれはこれを阻むのに十分な誘因策と抑止策があるとみている」と述べた。
ルッジェロ前局長が自国の核武装のシグナルとして受け止める国を直接言及しなかったものの、韓国や日本などを指したと解釈される。
ルッジェロ前局長は、トランプ大統領の韓米連合訓練縮小の指示についても言及した。ルッジェロ前局長は「私が唯一驚いたのは、トランプ大統領がそれを昨年にやらなかったことだ」とし、「トランプ大統領はそれについて強い見解を持っている」と語った。
一方で、北朝鮮との交渉で核保有国の地位を公式に認めてはならないという意見も出た。
米シンクタンク、スティムソン・センターのレイチェル・ミニョン・リー上級研究員は、米朝間の「ニューヨーク・チャネル」を再開するなど実務級対話が始まるだけでも大きな成果になり得るとして、戦略的曖昧性を維持する必要があると提言した。
リー上級研究員は「われわれ(米国)が北朝鮮に『核保有国として認める』と言う必要はない」とし、「われわれが持つテコをすべて手放しながらそうする理由はない」と指摘した。
リー上級研究員は、金委員長がロシアと中国との関係を改善したうえに、トランプ大統領も北朝鮮に手を差し伸べている状況だと診断した。続けて「金正恩としてはテコを多く保有しており、比類ない有利な位置にあると考えるだろう」と評価した。
米シンクタンク、マン スフィールド財団のブルース・クリングナー上級研究員は、トランプ大統領が自らの成果として掲げられる大型合意を望む可能性があるが、北朝鮮は要求と見返りを細かく分ける『サラミ戦術』を用いる恐れがあると懸念した。
クリングナー研究員は「北朝鮮は交渉の場に出てくるだけでも見返りを望み、引き続きさらに多くを要求するだろう」と語った。
クリングナー研究員はまた、トランプ大統領の周辺に直言する参謀が事実上おらず、米国の国益に合致しない合意が出る可能性も指摘した。時間がかかっても実務級で議題を先に整理した後、首脳間の談判につなぐ通常のボトムアップ(bottom-up・上向き)アプローチの方が望ましいと強調した。