アイスランドの国民が欧州連合(EU)加盟交渉の再開可否を問う国民投票で「反対」を選択した。約13年ぶりに加盟交渉が再開されるかに関心が集まったが、反対世論の壁を越えられなかった。
現地の公共放送RUVによると、30日(現地時間)に6選挙区の開票がすべて完了した結果、反対が52.8%で賛成47.2%を上回った。22万5000人が投票に参加し、投票率は82.5%を記録した。
首都レイキャビクでは賛成が優勢だったが、投票率は60%台にとどまった。一方、反対票が多かった農漁村地域では投票率が80%を超えたとポリティコ欧州版は伝えた.
開票序盤は賛成が先行したが、開票が進むにつれて反対が逆転し、その後は差が広がった。
アイスランドは2008年の金融危機以後、2009年にEU加盟を申請して交渉を進めた。しかし2013年にEU加盟に懐疑的な政府が誕生し、交渉が中断された。2024年に加盟交渉の再開を公約した政府が発足し、議論が再び始まった。
政府は、ウクライナ戦争とドナルド・トランプ米大統領によるグリーンランド併合の脅し、関税摩擦など国際情勢が急変する状況で、EUがアイスランドの安全保障と経済を支え得ると主張した。EU加盟が高金利とインフレ率を和らげることにも資するとの期待を示した。
反対陣営は国家主権と漁業に対する決定権が弱まる可能性があるとして反発した。とりわけ漁業はアイスランド輸出の約40%を占める中核産業であり、EU加盟時に漁業水域に対する自立的な決定権を失い得ると懸念した。
人口約40万人の小国だが、高い所得と生活の質、民主主義の水準などを維持していることから、EUに加盟する必要はないとの認識も反対世論に影響したとみられる。
国民投票を前に世論は拮抗して割れた。投票前日のギャラップ調査では反対が51.6%で賛成48.4%を上回ったが、数日前のマスキナ調査では賛成が51.3%で反対48.4%に優勢だった。キャンペーン序盤は賛成世論が先行したが、時間の経過とともに反対が上昇する流れを示した。
クリストルン・フロスタドッティル首相は投票前日、「投票結果にかかわらず政府は業務を続けていく」と明らかにした。