ドーブ(Dove)せっけんとアックス(Axe)デオドラント、シフ(Cif)洗浄剤などを保有するグローバル消費財企業ユニリーバ(Unilever)が、収益性の高い食品事業まで切り離し、ビューティー・パーソナルケア・ホームケア中心に事業構造を再編している。
過去には多様な事業を運営することが消費者嗜好の変化に対応できる競争力として評価されたが、最近はむしろ複雑な事業構造が企業価値を下げる要因として指摘されているためである。特に投資家がいわゆる「消費財の恐竜企業」よりも特定分野に投資とイノベーションを集中する企業により高い価値を付与し、グローバル消費財企業の戦略も変わる雰囲気だ。
25日(現地時間)ロイター通信によると、ユニリーバの企業価値(EV)対コア利益倍率は11.5倍と集計された。競合のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は14.8倍、ロレアル(L'Oréal)は17.5倍、コカ・コーラは22.7倍を記録した。これは、投資家が事業分野が相対的に集中した消費財企業により高い価値を付与していることを示唆する。
現在ユニリーバは、フェルナンド・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)体制の下で食品事業の縮小を加速している。アイスクリーム事業を別会社として切り離したのに続き、3月には食品事業を米国の香辛料メーカー、マコーミック(McCormick)と統合する約650億ドル(約89兆9200億ウォン)規模の取引を締結した。取引が完了すれば、ユニリーバは合併会社(マコーミックと食品事業を合体して発足する会社)株式約10%を保有し、ユニリーバの株主は合併会社の株式約55%を持つことになる。
ただしユニリーバが食品事業を切り離す理由は収益性が低いためではない。むしろ食品事業はこれまで高水準の利益率を記録してきた。問題は成長速度だ。食品事業の成長がユニリーバのビューティー・パーソナルケア・ホームケア事業に後れを取り、相対的に成長性の高い分野に資本と経営能力を集中する必要性が高まったのである。
ここに、企業の事業多角化を眺める投資家の視点も変わった。過去には複数事業を保有すれば消費者嗜好の変化による影響を分散できる点が長所として評価されたが、最近は投資とイノベーション、マーケティング能力を狭い範囲の製品群に集中する企業を好む雰囲気が強まっている。複雑な事業構造が効率性と成長を損なうとして企業価値を低く評価する「複合企業ディスカウント(conglomerate discount)」が消費財業界に拡散しているということだ。アキル・サチャック、ロスチャイルド・アンド・カンパニーの消費財部門グローバル代表は「一つの分野に集中すればコスト面でより効率的で革新的な企業になり得る」と述べた。
ユニリーバが参照すべき前例としてはP&Gが挙げられる。タイド(Tide)洗剤などを保有するP&Gは食品事業から撤退し、ブランド事業ポートフォリオを単純化した後に成長が改善した。その後、相当期間にわたり投資家から相対的に高い企業価値を認められた。ダン・ハンバリー、ナインティワンのポートフォリオ・マネジャーは、P&Gが構造改革を成功裏に終えた後、より高い成長率を記録し、その後約10年間にわたり相対的に高い企業価値プレミアムを受けたと評価した。
ただしユニリーバの「選択と集中」戦略が成功するかは、なお見極めが必要だ。食品事業が相対的に高い利益率を上げてきただけに、これを切り離した後は成長速度の速いビューティー・パーソナルケア・ホームケア事業がその空白を埋めなければならないためである。マコーミックとの取引後も合併会社の株式約10%を保有することで、成長速度の遅い食品事業に引き続きエクスポージャーが残る点も一部投資家の懸念要因として挙げられる。
足元でユニリーバの業績は改善している。ユニリーバは7月、販売数量が10余年ぶりに最も高い水準に達したと明らかにした。しかし業界の疑念を払拭するには、こうした成長が持続する必要があるとみられる。ハンバリー・マネジャーは、ユニリーバが投資家を説得するには今後3〜4四半期にわたり強い販売数量の増加を示す必要があると分析した。事業再編後に残った事業でユニリーバが実際の成長力を証明できるかが、企業価値の再評価のカギとなる見通しだ。