ロシアが兵力不足の状況を解消するため、ウクライナの戦場に投入する新規兵力確保に向けた追加動員令を検討中であると伝わっている。実際に動員令が下る可能性への不安が高まり、徴集対象年齢の男性が海外脱出を図る動きが生じているだけでなく、ロシアと隣接する国々の不動産価格も騰勢を示している。

ロシア軍部隊に所属する兵士が特殊軍事作戦を実施する様子。写真は記事内容と無関係。/タス通信

23日(現地時間)ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ロシア軍当局は先月ポーランドとリトアニアの間に挟まれた飛地カリーニングラードを訪れ、地域住民を動員する場合に備えた準備計画と手続きを点検した。兵力不足に備えた追加動員計画も全国的に検討中であるとされる。

ロシア当局が実際に動員令を発令するかは未定の状況だ。WSJは、ロシアが9月の総選挙を控えていることから、少なくとも選挙前に大規模動員に踏み切る可能性は低いと見立てた。動員令が民心に与える波紋を無視できないためである。

ただし最近、ロシアの兵力難が深刻化し、ウラジーミル・プーチン露大統領がドンバス掌握の意志を曲げていないことから、結局は追加動員令が下らざるを得ないとの観測も出ている。ロシアは2022年9月にも戦況が不利になると、予備役30万人を対象に部分動員令を発し、当時は徴集を免れようとする数十万人の男性が国外へ流出した経緯がある。

今回の大規模動員令切迫説が広がるなか、ロシア国内ではすでに類似の動きが現れている。WSJによれば、徴集対象年齢の男性が海外逃避の方策を模索している。ロシアと国境を接するジョージアをはじめ、アルメニアなどではロシア移民の大量流入への期待感から不動産価格が上昇した。モスクワ税関当局は先週、ジョージア国境を往来した人数が1日2万人を超え、過去最高を記録したと明らかにした。

今回、大規模動員令が現実化すれば、ロシアが前線を強化し、ドンバス掌握に向けた進撃速度を上げるのに寄与するとみられる。ただし戦闘が鈍化せざるを得ない冬季を前に動員令が下る場合、実質的な効果があるのかという疑問も提起される。

米シンクタンクのカーネギー国際平和基金のマイケル・コフマン上級研究員は「今年はすでに遅れているため、今回の措置が決定的な影響を及ぼすことはない」としつつも、「来年の戦闘では変数になり得る」と分析した。

経済的負担も大きい見通しだ。ロシアは戦争の長期化で既に労働力不足に直面しており、生産可能人口をさらに戦場へ投入すれば民間部門の人手不足が深刻化せざるを得ないためである。新たに動員した兵力の給与や食糧、装備などにかかる財政負担も大きい。

コンサルティング会社ユーラシア・グループのアレクサンドル・コリアンドル取締役は「ロシアは軍事的利益のために未来を質入れしている」と述べ、兵力の追加動員がロシア経済と政府予算に甚大な圧迫を与えかねないと警告した。

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