米国が4日間の間に韓国と台湾に正反対に見える安全保障の請求書を突きつけた。韓国には連合訓練を減らして北朝鮮抑止を求め、台湾には中国の攻撃を自力で持ちこたえる装備から購入せよと要求した。いずれの要請も米軍が直接担ってきた軍事的負担を現地の国家へ移す構図と解される。台湾は20日、来年の国防予算を史上初めて1兆台湾ドル超に引き上げ、米国の要求に直ちに応じた。
20日、台湾行政院は来年度の国防予算案を1兆1,225億台湾ドル(約49兆7,000億ウォン)で確定したと明らかにした。台湾の国防予算が1兆台湾ドルを上回るのは初めてである。今年の9,495億台湾ドル(約42兆ウォン)より18%多い。国内総生産(GDP)比の国防予算比率も初めて3%を超えた。頼清徳台湾総統は予算会議で「国防に資金を投じることはすなわち平和への投資だ」と述べた。
台湾の国防予算は2025年6,470億台湾ドル(約28兆6,000億ウォン)から2027年1兆1,225億台湾ドルへと2年で73%増える。頼清徳総統就任前であった2024年6,068億台湾ドル(約26兆9,000億ウォン)と比べれば3年で85%の急増だ。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は4月、台湾の2025年軍事費を182億ドル(約25兆2,000億ウォン)と推計集計した。2024年に比べると1年で14%増の規模で、1988年以降で最も大きい年間増加率だ。SIPRIは紛争や軍事費支出、武器移転を追跡するスウェーデンのシンクタンクで、各国で異なる会計基準を同一の物差しで再計算し、毎年世界の軍事費を発表している。
同じ統計で、台湾のGDPに占める軍事費の比重は2.1%を記録した。台湾が軍事費を急速に増やしていても、GDP比の軍事費比重は依然として韓国(2.6%)はもちろん世界平均(2.5%)にも及ばない。台湾は中国の軍事力と直接向き合う国でありながら、昨年まで軍備負担が重い部類には入っていなかった。軍事費支出上位40カ国のうち、台湾の順位は絶対額基準で22位にとどまった。ポーランド(14位)やスペイン(15位)より軍事費が少なかった。
頼清徳総統はこの予算を2030年までにGDP比5%へ引き上げると付け加えた。来年に編成した予算を3年でさらにおよそ2倍近く増やしてこそ達成可能な数値だ。目標値はNATO基準で昨年の国防費比重が最も高かったポーランド(4.48%)やリトアニア(4.0%)を上回る。
台湾の国防予算の増加は、核心的な防御兵器を売るという米国の要求に合致する結果だ。エルブリッジ・コルビー米国防副長官(政策担当)は10日、フィリピンのマニラでアジアの同盟・パートナーに自衛への投資を一層拡大するよう求めた。コルビー副長官はストラットベース研究所のフォーラム演説で、米国が求める相手は「保護領ではなくパートナー(partners, not protectorates)」だと強調した。コルビー副長官は昨年3月の上院承認公聴会で、台湾の国防費をGDP比10%水準まで引き上げるべきだと主張した。APは、米国が台湾に国防支出の拡大を継続的に要求してきたと伝えた。
ただ、いくら台湾が国防予算を速いペースで増やしても、中国と比べれば依然として軍備総額では太刀打ちできない。SIPRIの集計で中国は昨年、軍事費に3,360億ドル(約465兆6,000億ウォン)を支出し、台湾より18倍多く使った。それでもGDP比の国防予算比重は1.7%で、むしろ台湾より低い。台湾がGDPの5%あるいは10%を国防予算に投じても、中国との軍備総額の格差を縮めるのは難しい。
米国はこの点を踏まえ、台湾に戦闘機や艦艇のような攻撃的兵器よりも、ドローンや機雷、移動式発射台、防空網、弾薬の補充を勧めている。専門家は、中国軍が台湾海峡を渡る際に負うコストを最大限に引き上げ、侵攻の決心をくじく「拒否による抑止(deterrence by denial)」戦略だと解した。台湾国防部もこの戦略に同意した。具体的には、沿岸攻撃用ドローン20万機と無人水上艇、複層の防空網を一体化するTドーム(T-Dome)を構築し、防御戦略を組んだ。
しかし米海軍は、台湾の予算案が出る1週間前の13日、台湾海峡周辺を担ってきた空母ジョージ・ワシントン空母打撃群(CSG)を中東へ移した。ジョージ・ワシントンはこれまで西太平洋一帯で中国の海洋領有権主張をけん制し、韓国・日本に対する安全保障の確証を示す中核戦力の役割を果たしてきた。今後は台湾海峡ではなくイランでエイブラハム・リンカーンを代替する任務を担う。政治専門メディアのアクシオスは、こうした動きが「米国の安保コミットメントは信頼し難い」という中国側の主張に力を与え得ると指摘した。
先立って米国は、台湾海峡でジョージ・ワシントンを外すと同時に、朝鮮半島では軍事訓練を減らした。ドナルド・トランプ米国大統領は16日、ピート・ヘグセス国防長官に韓米連合軍事訓練を大幅に縮小するよう指示した。当初17日に始まり27日まで続く予定だった「乙支フリーダム・シールド(UFS)」訓練の日程は21日終了へと1週間前倒しされた。野外機動訓練の相当数も取り消されるか、仮想訓練の形へと切り替わった。
リチャード・ハース米国外交問題評議会(CFR)名誉会長はソーシャルメディアXに「米国はアジアへ戦略の中心を移すどころか、逆に足を引いている」と記した。ハース名誉会長は続けて「中国と北朝鮮がこの空白を利用する」とし、「同盟諸国は絶望するか、核武装を試みるだろう」と付け加えた。