頼清徳台湾総統が来年、全国民に1人当たり1万台湾ドル(約44万ウォン)の現金を給付すると18日に発表した。世界的な人工知能産業の好況がもたらした巨額の経済成長の果実を全国民と公平に分かち合う趣旨だ。しかし台湾内部では迫る地方選挙を狙ったポピュリズム政策だとの反発が野党を中心に強まっている。

18日のフォーカス台湾と聯合報など主要メディアの報道を総合すると、頼総統は来年度の中央政府総予算案に2357億台湾ドル(約10兆4000ウォン)の歳出を追加し、全国民への現金給付に踏み切ると明らかにした。頼総統は来年度の中央政府の歳入見通しが3兆9266億台湾ドル(約175兆ウォン)へと上方修正された点を給付の根拠に掲げた。歳入増により新規債務を増やさず均衡予算を維持しながら、いわゆる「人工知能配当金」を国民と共有できるようになったとの趣旨と解される。この予算案は年内に台湾立法院の審査を経る見通しだ。審査を通過すれば現金給付手続きは来年2月の春節(旧正月)前に始まる見込みだ。

2026年7月31日に台湾・台北で開かれたAI Wave Showで、SYSCOM Computer Engineeringが開発したAI搭載の観光ガイドロボット「Aruda」が展示された。/聯合ニュース

台湾の統計当局は2026年の台湾の経済成長率見通しを39年ぶりの最高値である11.05%へ大幅に上方修正した。台湾経済は今年上半期だけで14.15%という高成長率を記録した。世界的な人工知能と高性能コンピューティング、クラウドサービスの需要が爆発し、台湾の半導体と情報通信技術のサプライチェーンには莫大な投資が流入している。頼総統は「輸出の好調が国家経済をけん引したが、サービス業や伝統産業の従事者、中小企業はその恩恵を十分に享受できなかった」と述べ、現金ボーナスの支給を擁護した。

しかし台湾の政界内外では、今回の現金給付計画の背後に政治的な計算が隠れているとの指摘が出ている。迫る11月の地方選挙と2028年の総統選挙を前に、分散した民意を固めようとする狙いだとの評価が提起されている。

同時に、過去最大規模で編成した国防予算を無事に通過させるための誘因策だとの見方も出た。来年度の台湾の国防予算は1兆1225億台湾ドル(約49兆7000ウォン)で、史上初めて1兆台湾ドルを超える見通しだ。このため巨額の安保費用負担をめぐって国民的な批判世論が強まると予想される。この批判世論を現金ばらまきで先制的に遮断しようとしているとの指摘を一部では提起した。

野党は与党の民主進歩党(民進党)が過去に自らが打ち出した政策を覆したとして、ダブルスタンダード的な態度を強く批判した。第1野党の国民党所属のチャン・ワンアン台北市長は、過去に野党が現金給付を提案した際に民進党が違憲だとして反対していた事実を取り上げた。

台湾当局は消費振興や危機克服を名分に、しばしば全国民に現金をばらまいてきた。2000年代後半の金融危機以降だけでも今回は6回目だ。台湾政府は2020年と2021年にコロナパンデミック対応の名目で消費クーポンを配布し、2023年の景気刺激、2025年の米国関税ショック対応のためにそれぞれ6000台湾ドル(約26万6000ウォン)と1万台湾ドルの現金を支給した。

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