今夏に記録的な猛暑を経験した英国ロンドンでは、エアコンなどの冷房設備を備えているかがオフィスを賃借する際に最も重要な検討条件の一つとして浮上している。
17日(現地時間)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は不動産仲介業者らを引用し「冷房設備が速いペースで賃借人の『必須条件』リストの上位に上がっている」と報じた。
ロンドンの商業用不動産コンサル・仲介会社ロバート・アービング・バーンズのアンソニー・アンソニウ最高経営責任者(CEO)は「多くの賃借人にとってエアコンは『あれば良いもの』から、いまや契約の成否を決める条件になった」と述べ、「とりわけウエストエンドの一部地域では、エアコンがないことが契約の大きな障害として作用している」と語った。
英国は今夏、日中最高気温が40度近くまで上がるなど猛暑に見舞われている。13日にもロンドン西部リッチモンドのキュー・ガーデンズで日中最高気温が38.1度まで上がった。英気象庁は平均気温の基準で今夏が観測史上最も暑い夏になると予想している。
しかしロンドンには依然としてエアコンなどの冷房設備を備えていないオフィスが多い。英住宅・コミュニティ・地方政府省(MHCLG)によると、ウエストエンドを含み古い建物を改修した物件が多いウェストミンスターでは、全建物の61%に当たる約7134棟だけがエアコンを備えている。何らかの形での「機械式冷房」設備を備えた場所まで含めても68%にとどまる。オフィス用途で設計された建物が多いロンドン・シティは、オフィス10件のうち8件に完全な冷房設備が整っているなど、状況は比較的良好だ。
このため、猛暑で業務に支障を来す事態も増えている。グローバル会計・コンサルティング会社グラント・ソントンの上級幹部らは今夏、一日を通して戦略立案会議を実施しようとしたが、会議室の蒸し暑さに耐えられず会議を中断し、より涼しい場所へ移らざるを得なかったとFTは伝えた。
外国為替管理会社のマネージングディレクターであるハリー・ミルズは、来年以降に会社をロンドンの金融街シティへ移転する際には「100%エアコンが必要だ」とし、「ここへ最初に移ってきたときはエアコンを考えもしなかったが、今では絶対に譲れない条件だ」と述べた。
一部では無分別なエアコン普及を懸念する声も出ている。エアコンに使用される冷媒が地球温暖化を悪化させ、気温上昇で再びエアコン使用が増える悪循環を招き得るという理由からだ。コンサルティング会社キャップジェミニも2023年のサステナビリティ報告書で冷媒を懸念要因に挙げたことがある。