米国の経済制裁にイラン戦争まで重なり物価が急騰したイランで、企業が商品を先に購入し代金を後から支払ういわゆる「掛け売り」消費をあおっている。

1日(現地時間)、イランのテヘランにあるグランドバザールで、市民が露店の間を通り抜けている。/ AFP=連合

15日(現地時間)英フィナンシャル・タイムズ(FT)とイランの現地メディアによると、最近イラン企業は小売品はもちろん旅行商品まで決済時期を先送りし、消費を誘導している。FTによれば現在イランでは10余りを超えるオンラインプラットフォームが先購入後払い(BNPL)などの信用購入サービスを提供しており、一部は別途の手数料や利子を課さない。

イランの代表的電子商取引企業スナップペイはテヘラン市内の各所に「今すぐ買って後でお金を払ってください」と記した広告板を掲出している。スナップペイは衣料品や携帯電話、金、バカンス旅行など多様な商品について最大5億リアル(約270ドル)の限度で利子や手数料なしに月末にまとめて決済するか、4カ月にわたって分割で支払えるサービスを提供する。事実上の掛け取引というわけだ。

リアル通貨の価値が持続的に下落するイランで、販売者に損失となり得る掛け取引が拡散しているのは異例だ。大半のイラン国民はこれまでクレジットカードの代わりにデビットカードや現金で物を購入してきた。しかし物価上昇が深刻化し消費余力が落ちると、販売者は損失を甘受してまで掛け取引に乗り出している。

イラン経済が米国の長期的な経済制裁で困難を強いられてきたうえ、イラン戦争まで勃発し国民の財布は一段と薄くなった状態だ。イラン統計庁によれば先月22日基準で直前1カ月間の物価上昇率は130%に達した。イランの現地メディアは、物価上昇の相当部分が食料品と衣料価格の急騰によるもので、一部の食品価格は110%以上上がったと伝えた。

これに先立ちイラン国営IRNA通信も、ここ数年でインフレが深刻化し多くの家計が消費財と家電製品、デジタル機器はもちろん医療・教育サービスを利用するためにまで信用購入に依存せざるを得ない状況になったとして、「より多くの消費者が先購入後払いを利用している」と報じた。

専門家は、掛け取引の拡散がイラン国民が経済難の長期化に備えていることを示すと評価する。民間の金融・経済教育機関エコンクリニックのアリ・サエドバンディ設立者は「インフレ圧力で国民の購買力が減少し、生産者と供給者が感じる切迫感を露わにする」と述べた。

ただしリアル通貨の価値が下がる状況で掛け取引が拡散することへの懸念も少なくない。消費者がオンライン信用プラットフォームを通じて商品を分割で購入する場合、販売者が商品代金を即時に全額受け取れず一定期間が経過した後に精算を受ける構造のため、リアル通貨の価値が下落し続ければ販売者の実質的収入が減少し得るためだ。

メフディ・ハディアンイラン中央銀行通貨・銀行研究所の副所長は、先にイランの半官営メディアYJCとのインタビューで、BNPLがここ数年プラットフォームを通じて拡散しているとし、「このような流れは、正確な政策立案と金利の透明性、顧客の負債規模を統制するための適切なシステムの構築とともに進めなければならない。そうしてこそデジタル信用の拡大が家計の金融リスク増加につながらないだろう」と述べた。

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