イラン戦争で迎撃ミサイルの在庫が急速に減少した米国が中国と長期的な軍事衝突に入る場合、深刻な戦略的敗北を被る可能性があるという米シンクタンクの警告が出た。
12日(現地時間)米国の保守系シンクタンクであるヘリテージ財団によると、ジム・ペイン上級研究員は4日「戦域ミサイル防衛在庫:米中紛争に不十分」と題する報告書を公表した。
報告書は迎撃ミサイル在庫が十分でない場合、米軍が敵の攻撃能力と戦力再建能力を弱めるための持続的な攻撃作戦を遂行しにくくなると見通した。続けて、迎撃体の不足が長期化すれば作戦失敗を超えて米国の戦略的敗北につながり、米軍と経済的利益にも長期の損害を与えうると警告した。
とりわけ中国との衝突に備えた非常計画において、迎撃ミサイル在庫は単なる補給問題ではなく、米軍が戦闘を持続して勝利できるようにする中核要素だと強調した。
ヘリテージ財団は2024年米大統領選を前にドナルド・トランプ大統領の再登板を念頭に置いた政策提言集「プロジェクト2025」を打ち出した米保守陣営の代表的シンクタンクである。これまで米メディアを中心に米軍の迎撃ミサイル不足問題が提起されてきたが、今回の報告書は米中間の軍事衝突を仮定して米国の防御能力を分析した。
報告書によると、米国が保有するパトリオットやTHAAD(終末高高度防衛=高高度ミサイル防衛体系)、SM-3、SM-6など主要迎撃ミサイルの在庫は、中国との長期かつ高強度の紛争を抑止または勝利するために必要な総量の10%にも満たない。
現在の在庫では、戦争勃発後わずか数日で防御能力が大きく弱体化しうると分析した。報告書は「現在の在庫水準であれば、中国人民解放軍(PLA)は紛争開始から数日以内にグアムのアンダーセン空軍基地のような主要米軍基地を無力化できる」と展望した。
中国が米軍基地を攻撃するのに保有ミサイルの一部だけを使用しても、米国は数日で迎撃ミサイルをすべて使い果たしかねないということだ。
在庫を再び積み増すのに必要な時間も問題として指摘された。報告書は、現在の米国の生産速度が維持される場合、推奨水準の迎撃ミサイル在庫を確保するのに約29〜89年かかると試算した。
報告書は、フィル・デービッドソン前米インド太平洋軍司令官が米中間の紛争が2027年までに発生する可能性に言及した点に触れつつ、「米国の新たなミサイル生産能力を拡大するにも数年を要する見通しだ」と指摘した。
これにより報告書は、迎撃ミサイルを即時に追加調達すると同時に生産能力を大幅に拡大すべきだと提言した。中国との長期的な高強度紛争という最悪の状況を基準に弾薬在庫の目標を設定すべきだということだ。
また、実際の衝突が発生する場合に中国本土を攻撃できるよう交戦規則を事前に承認し、紛争初期から中国のミサイルが発射される前に破壊できる能力を備えるべきだと主張した。
海上戦力の活用も強調した。攻撃用火力を弱めない範囲で海軍戦力を活用し、地上配備の迎撃体を補完する方策を整えるべきだと提案した。
弾薬生産基盤を根本的に拡大するため、弾薬調達専用勘定を設け、生産業者に補助金や税制優遇などのインセンティブを提供する案も示した。
米国防総省も迎撃ミサイル不足に対応して調達拡大を進めていることが明らかになった。フォックスニュースが米陸軍の2027会計年度予算案を分析した結果、米軍はパトリオットの高性能迎撃ミサイルであるPAC-3 MSE 2798発とTHAAD迎撃ミサイル857発などを調達するための予算を要請した。
2026会計年度予算案で要請していたPAC-3 MSE 320発とTHAAD 25発に比べ、調達規模が大きく拡大したということだ。