世界の原油物流の要衝であるホルムズ海峡の通航をめぐり、沿岸国のイランとオマーンが具体的な合意に到達しつつあるとの報道が出た。海峡に進入する船舶はイランが管轄する水域を、出航時にはオマーンが管轄する水域に近い経路をたどる新たな通航モデルが適用される見通しだ。
4日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は匿名の複数のイラン当局者を引用し、イランとオマーンがホルムズ海峡再開放に向けた協議で相当な進展を遂げたと報じた。エスマイル・バガイ外務省報道官も3日、両国が船舶通航の航路を盛り込んだ地図を交換したと確認し、合意が差し迫っていることを示唆した。
バガイ報道官は、過去には狭い海峡での船舶衝突を防ぐため通航分離方式(TSS)に従いオマーン領海内のみを航行していたのとは異なり、「二つ三つの分離された航路ではなく、双方向通航が可能な単一路線についてオマーンと協議している」と説明した。
新たな合意案には、海峡を通過する船舶に通行料ではなく手数料の名目で費用を請求する内容も含まれると伝えられている。イラン当局者によれば、合意後に海峡を通過する船舶には、環境影響評価や保安および人員配置などに必要とする名目でサービス利用料が課される。こうして得られる収益はイランとオマーンが折半する予定だ。イラン側は、ドナルド・トランプ米大統領が強く反対する「通行料」という語の代わりに「サービス手数料」という表現を合意に用いたとNYTは伝えた。
実際にイランとオマーンがこの内容で合意し、サービス手数料の賦課案を正式発表すれば、イランはホルムズ海峡の統制権という確固たる戦略的てこを握ることになる。米国はこれまで戦争前のように国際水域として自由な通航を保障するよう圧力をかけてきたが、これに対しイランは沿岸国としての主権的統制を強く堅持してきた。
トランプ大統領はホルムズ海峡の開放という喫緊の政治的成果を手にする公算が大きい。同時に、仲介国のオマーンが当事者である点を掲げ、むやみにイラン戦を仕掛けて海峡通行に費用を支払わせる結果を招いたとの国際社会の批判から一歩退く余地を確保できる見通しだ。トランプ大統領は3日、「4日までにホルムズ海峡を完全に開放する方策を協議中だ」とし「第1段階で海峡開放、第2段階で非核化の協議が行われる」と述べた。
一部ではイランとオマーンの合意に懐疑的な見方も出た。国際危機グループ(ICG)のアリ・バエズ中東プログラム副局長は「トランプ大統領の立場では、イランに海峡の統制権を渡すいかなる解決策も受け入れ難い」としつつ、「イランを排除する軍事的解法もない。トランプは勝てない戦争と受け入れがたい平和のいずれかを選ばなければならない」と指摘した。