欧州を襲った猛暑と干ばつでドナウ川の水位が史上最低水準まで低下し、ハンガリー唯一の原子力発電所が44年ぶりに初の全面稼働停止の危機に直面している。これに対しハンガリー政府は電力不足に対応するため企業と家庭に節電を要請した。サムスンSDI(006400)も電力使用を減らした企業に含まれた。
2日(現地時間)ロイター通信によると、ハンガリー政府は記録的な猛暑・干ばつでドナウ川の水位が引き続き下がるなか、パクシュ(Paks)原子力発電所の全面稼働停止の可能性に備えている。ペーテル・メジャール首相はこの日フェイスブックを通じて「今後5日間が最も重要な正念場になる」とし、「最高40度の猛暑が予告されるなか、パクシュ原発が電力を生産できない可能性がある」と明らかにした。
パクシュ原発は設備容量2ギガワット(GW)規模で、ハンガリーの発電の約半分を担う唯一の原子力発電所である。ドナウ川の水を冷却水として使用しているが、川の水位が史上最低水準まで下がり、この日基準の稼働率も10%を少し上回る水準まで低下した。ハンガリー水資源当局は今後数日間、水位がさらに下がるとの見通しを示した。
メジャール首相は、原発が数週間にわたり稼働を止める可能性もあると述べた。ただし実際の稼働停止の可否と時点は、原発の運営陣が安全規定に従って決定すると説明した。
こうした状況下で、ハンガリー政府は全国的に節電要請に踏み切った。これにより家庭と300余りの企業が自発的に参加し、電力需要は約400メガワット(㎿)減少した。イシュトヴァーン・ケーピターニーエネルギー相は、今回の節電要請に参加した企業として、ハンガリーのエネルギー企業モル(MOL)、韓国の電池企業サムスンSDI、ドイツの自動車メーカーのアウディ(AUDI)、日本の自動車部品メーカーのデンソー(DENSO)などを挙げた。
ハンガリー政府は現在まで企業を対象とする義務的な節電措置は実施していない。ただし状況が悪化する場合は早ければ3日から電力使用の制限を導入できると明らかにした。
今回の猛暑は原発だけでなくハンガリーの物流や観光にも影響を及ぼしている。ドナウ川の水位低下で船舶の運航に支障が生じ、ブダペスト郊外地域を含む100余りの都市と町では水使用の制限措置が実施されている。同時期にルーマニアでもドナウ川の水位低下によりチェルナボダ原発の原子炉の運転を止め、欧州各地でも河川水の不足で水力発電と貨物輸送に支障が出ている。
ハンガリー野党のティセ党によると、今回の事態で原発が止まれば高価な輸入電力に依存せざるを得ないため、ハンガリーに最大2000億フォリント(ハンファ約9060億ウォン)規模の追加費用など経済的損失が発生すると試算した。業界では、異常気象で欧州全域で猛暑と干ばつが繰り返されるなか、河川を冷却水として活用する発電施設の運用安定性と製造業のサプライチェーン管理が新たな課題として浮上すると見ている。