中国とフィリピンが南シナ海の領有権を巡り連日衝突するなか、中国が自国の建軍節だった1日、スカボロー礁(中国名・黄岩島)で大規模な海空軍合同訓練を実施し、関連映像を公開した。中国の官営メディアは「南シナ海で引き続き問題を起こすなら中国の強硬対応を覚悟すべきだ」として、フィリピンと米国を狙った強い批判に乗り出した。
3日、中国の官営中央テレビ(CCTV)によると、人民解放軍南部戦区は1日、黄岩島の領海・領空および周辺の海空域で海空軍合同訓練を実施したと明らかにした。訓練は偵察・早期警戒、抑止巡回、海空統制、合同打撃など実戦科目を中心に進めた。南部戦区は公式ソーシャルメディア(SNS)を通じて異例にも訓練映像を公開したが、映像によれば爆撃機編隊と海軍の駆逐艦、チリエンシャン艦などが訓練海域に投入され、071型揚陸艦とホバークラフトが作戦を遂行した。
同日、中国海警も礁付近の海域で船舶の検問・拿捕と侵入阻止、強制えい行などを含む法執行訓練を実施した。続いて中国自然資源部、国家林業草原局、中国海警局、海南省政府も付近海域の巡回体制を構築し、各種不法行為を取り締まる規定を発表した。サンゴ礁など海洋生態系の保護と不法漁獲の禁止などの内容も盛り込んだ。官営の環球時報は「中国が保護するのは自国領土だけでなく、南シナ海という人類共同の海洋生態環境だ」と解釈した。
今回の合同訓練は、7月末にフィリピンが礁の周辺に一方的に『領海基線』を設定すると発表したことへの対抗措置という性格だと解釈される。当時中国は当該区域が自国固有の領土だとして、当該措置は国際法違反で無効だと反発し、その後も両国は緊張を続けている。とりわけこのなかで米国はフィリピンとの相互防衛条約を根拠に南シナ海での航行の自由を強調しフィリピンを支援しており、中国はこれを域外勢力の介入と規定して非難している。
シンガポールの聯合早報によると、軍事専門家は、今回の中国の海空軍合同訓練は単なる巡回ではなく、上陸作戦と島嶼奪還能力を誇示するためのものだと解釈した。とりわけ揚陸艦とホバークラフト、長距離対艦ミサイルを同時に投入したのは、有事の実戦対応能力を対外的に示そうとする意図だという分析である。とくに合同訓練の現場映像まで公開したのは、フィリピンだけでなく米国にも明確な警告メッセージを送るためだと解釈した。
中国の官営メディアも攻勢の度合いを強めている。官営の環球時報は2日夜の社説で、1日の合同訓練は「単純な軍事行動ではなく戦略的宣言だ」とし、「黄岩島は中国の固有領土だ」と主張した。社説はフィリピンの領海基線設定について「隣人が我々の家に入ってチョークで線を引き、その中の財産を自分のものだと主張するのと同じだ」と批判した。続けて、フィリピンが米国と結託して中国の『レッドライン』を試しているとし、「南シナ海で引き続き問題を起こすなら中国の強硬対応を覚悟すべきで、正義も中国の味方であり力も中国の味方であるだろう」と述べた。
解放軍報も同日付の論評で、一部フィリピン政治家が「大勢を無視したまま域外勢力と頻繁に結託し、大国間競争の駒になっている」とし、「一日も早く過ちに気づき、中国に対して行った各種の約束を守り、両国関係の安定に努めるべきだ」と促した。