ハンガリーが2日(現地時間)に史上初めて唯一の原子力発電所の稼働を全面停止する。深刻な干ばつでドナウ川の水位が低下し、原子炉の熱を冷ますために必要な冷却水の供給に支障が生じたためである。今回の措置でハンガリー全体の発電能力のうち40%以上が即座に失われ、深刻な国家的エネルギー危機が懸念される。

1日、ハンガリー当局は原子炉4基を冷却するために必要なドナウ川の水位が最低基準線を下回ったことに伴い、パクシュ原子力発電所の稼働を止めることを明らかにした。ペーテル・マジャール首相は「2日午前1時30分に稼働中だった原子炉のうち1基を停止し、残る1基も同日に稼働を止める」と述べた。

31日、ハンガリーのパクシュ原子力発電所一帯で水資源が干上がり、川底が露出している。/聯合ニュース

原子力発電所は核分裂過程で発生する莫大な熱を制御する。これにより発電所周辺の川や海から絶えず大量の水をポンプで取り込み、原子炉の熱を冷ます冷却水として使用する。しかし近ごろ欧州内陸で猛暑と干ばつが重なり、ドナウ川の水位が急減し、結果として原発を安全に維持するための最低限の取水量すら確保できない状況に置かれた。冷却水が不足した状態で無理に原子炉を稼働すれば大規模な安全事故につながる危険があるため、先手を打って稼働を中断したとみられる。

首都ブダペシュト南方に位置するパクシュ原発は1980年代に稼働を開始し、建設から44年が経過した老朽発電所である。だが依然として2000メガワット(MW)に達する電力を生産し、ハンガリーの電力網を支える中核インフラだ。ハンガリーは電力消費が激しい真夏の需要に対応するため、高価な海外からの電力輸入に大きく依存せざるを得ない状況に置かれた。マジャール首相は「ドナウ川の水位低下が続く場合、発電所の稼働中断が数週間続き、電力網に大きな負担を与えうる」と警告した。中部欧州全域では現在、さらなる猛暑が予報されており、ハンガリーは数十年ぶりの最悪のエネルギー危機に直面したとの評価が出ている。

電力網に過負荷がかかる危機に直面し、ハンガリー政府は非常対応体制に入った。当局は自動車メーカーや電池工場など電力消費が莫大な大規模産業施設に対し、電力消費の削減を促した。ハンガリーは欧州における自動車部品および電池の生産拠点であり、数多くのグローバル企業の工場が稼働中だ。電力制限措置が長期化すれば、現地産業界の稼働率低下は避けられないとの分析が出ている。ハンガリー政府は必要な場合、企業の自主的削減を強制措置へ転換できる法案も可決した。あわせて病院など必須施設への電力供給を守るための広範な制限措置も非常計画に盛り込んだ。

今回の事態は、記録的な猛暑と干ばつなど極端な気象異変が欧州のエネルギーインフラをいかに深刻に脅かすかを示す端的な事例として記録される見通しだ。水不足と記録的高温、山火事などは欧州大陸全体の電力システムに負担をかけ、農作物に被害を与え、気候変動に伴う経済的コストを増大させている。ハンガリーの水資源管理システムが抱える脆弱性も余すところなく露呈した。マジャール首相は1日、ブダペシュト北部のドナウ川沿いセンテンドレ地域で水需要の急増により数千人の住民が断水被害を受けたと明らかにした。

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