日本の時計メーカーであるセイコーが、大規模な広告と高級製品を前面に打ち出し、ラグジュアリーブランドへの転身を図っている。直近3年間で株価が約6倍に跳ね上がるなか、企業の時価総額は世界最大の高級ブランド企業ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMH)と同水準の評価を受けていることが分かった。
セイコーは4月、米国プロ野球メジャーリーグ(MLB)で活躍する大谷翔平と協業した機械式時計を発売した。製品は2種類のデザインで計3400本のみ製作した限定版だった。価格は約30万円(約280万円)に達したが、店頭で素早く完売した。モデルごとに差はあるが、普及型のセイコーの時計が通常50万ウォン以下であることを考慮すると高い価格である。
セイコーは大谷の人気を海外市場攻略にも活用する計画だ。これまで大谷が登場する広告は日本でのみ放映してきたが、来年3月まで続く今回の会計年度からは海外広告にも起用した。セイコーは大谷と自社の最高級ブランド「グランドセイコー」の広告契約も結んだ。
ヨネヤマ・タク セイコー最高財務責任者(CFO)は「大谷効果に支えられ、世界市場でブランド価値をさらに高めたい」と語った。
セイコーはかつて大衆的な中低価格帯の時計メーカーというイメージが強かった。しかし2017年に高級製品群であるグランドセイコーを従来のセイコーブランドから分離し、本格的に高級市場の攻略に乗り出した。
広告費も大きく増やした。セイコーは前会計年度に広告・販促に258億円(2276億2566ウォン)を投じ、今年は約10%さらに増やす計画である。ヨネヤマCFOは「過去には広告が即時に効果を上げるとは感じなかったが、今は広告が直接販売につながっている」と説明した。
実際の販売量も増えた。セイコーは日本と海外で時計の販売が伸び、前会計年度の通期業績見通しを3回にわたり上方修正した経緯がある。
グランドセイコーやプロスペックスなど、価格が高く収益性の高い製品の販売比率も拡大した。高付加価値製品の比率は5年前に比べ、日本で約20ポイント、海外で約15ポイント上昇した。現在は日本と海外の双方で、全体販売の75%を高付加価値製品が占める。
ブランド価値の向上に伴い、収益性改善への期待も高まっている。セイコーの営業利益率は昨年の9.2%から今年は9.4%へ上昇する見通しだ。
ツルオ・ミツノブ SBI証券主席アナリストは、セイコーの営業利益率が中長期的に約15%まで上昇し得ると見立てた。ツルオ・ミツノブは「セイコーのブランド競争力が強まり、広告や店舗開設に投じる費用より利益がより速く伸びる」と分析した。
市場もセイコーの変化を高く評価している。セイコーの株価は直近3年間で約6倍に上昇した。28日基準のセイコーの株価純資産倍率(PBR)は3.46倍を記録した。日本の競合であるシチズンの1.78倍やカシオの1.65倍を大きく上回る水準だ。世界の高級ブランド企業と比較するとLVMHの3.4倍を凌駕した。
日本経済新聞は「一般に数値が高いほど、市場が企業のブランドや成長可能性など目に見えない価値を高く評価していることを意味する」として「日本の時計メーカーであるセイコーグループがラグジュアリーブランドへと脱皮している」と評価した。
セイコーは今後、生産能力の拡大にも乗り出す計画である。一部製品は需要に生産量が追いついていないためだ。会社は欧州などを中心に直営店も追加で増やす予定だ。ヨネヤマCFOは「部品調達から製造、販売に至るまで、時計の供給能力を強化できるM&A(合併・買収)も検討する」と述べた。