休戦破棄後13日間続いた米国とイランの武力衝突は小康状態に入ったが、イラン指導部は交渉を急いでいない。
イランでは米国と交渉しないというシグナルが引き続き出ている。エスマイル・バガイ外務省報道官は27日(現地時間)「ホルムズ海峡の通航体制に関してはオマーンと交渉を進めているだけで、米国とはいかなる交渉も進めていない」と語った。
こうした姿勢は、イランが交渉を望んでいるという米側の主張とは相反する。ドナルド・トランプ米大統領は同日、ミシガン州に向かうエアフォースワン(大統領専用機)で「イランが会談を望み、われわれは会っている。合意の可能性がある」と述べた。トランプ大統領は、イランが代理人を通じても直接的に会談を要請したと主張した。
イランが交渉に消極的な背景について、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は28日「イラン指導部が現在の米国との関係、すなわち平和でも全面戦争でもない『グレーゾーン』の状態をむしろ心地よく受け入れていることを示す」とし、イランが米国との交渉で優位に立っていると判断しているようだと評価した。
米コンサルティング会社ユーラシア・グループのイラン担当主席アナリスト、グレゴリー・ブルーは「イランは時間が自分たちの味方だと信じている」とし「トランプよりも大きな苦痛と圧迫に耐えられ、結局は自分たちは譲歩しないままトランプが自分たちの要求に見合う合意を受け入れると考えている」と分析した。
とりわけイランは、国際原油価格はもちろん米国経済にも大きな影響を及ぼすホルムズ海峡を交渉のてこにしようとしているとNYTは伝えた。現在のイランの優先順位は、米国が受け入れようとしないホルムズ海峡に対する自国の統制権を承認されることだと評価される。
実際、膠着状態に入ったイラン戦争はトランプ大統領に大きな政治的負担として迫っている。トランプ大統領の政権支持率は最低水準に落ち、イラン戦に対する米国民の反感も次第に高まっている。最近のロイター・イプソスの世論調査によると、米国の成人のうちイランとの戦争を支持すると答えたのは33%にとどまった。
対イラン軍事作戦に必要なミサイル在庫も減少している。NYTは25日、米政府内部で米軍のミサイル在庫減少が主要な懸念事項として取り沙汰されていると報じたことがある。戦争が再び拡大すれば、湾岸地域の同盟国との関係が悪化するなど、トランプ大統領の政治的負担はさらに大きくなり得る。
もっともイランの立場でも、長期的な全面戦争に戻るのは負担だ。地上戦が起きない限り、イラン軍戦力の事実上の全てであるミサイルとドローンの在庫が不足しかねないためである。
ワシントン研究所の上級研究員でイラン軍事専門家のファルジン・ナディミは、イランが休戦に同意した理由の一つはミサイル在庫が不足しているか、十分に活用できない状況だったためだとし「イランは米国とイスラエルを同時に相手取る全面戦争を再び望んでおらず、終わりの見えない戦争も望まない」と述べた。
一部ではイランが全面戦を再開し得るとの声もある。イラン強硬派は米国とイランの終戦覚書(MOU)を継続的に批判してきた。イランのメディア、イラン・インターナショナルは「強硬派は、米国が軍事作戦を一時中断したのは軍事的圧迫と域内のエネルギー供給の混乱が米国の脆弱性を露呈させたためだと主張している」とし、イラン国内では米国の空爆中断を外交再開のきっかけとして活用するのか、あるいは次の交戦が始まる前に米国への圧力を強化することに活用するのかをめぐって論争が起きていると伝えた。
一方、28日にイランが中東内の米軍基地への攻撃を再開し、緊張が再び高まっている。中東地域の米軍を統括する米中央軍はこの日、エックス(X・旧ツイッター)を通じて「米東部時間の本日午後5時45分、イスラム革命防衛隊(IRGC)部隊がイランから中東の米軍基地を奇襲するため多数の弾道ミサイルを発射した」と明らかにした。米国が反撃に乗り出した場合、全面戦が再開される可能性がある。